貴方の考えてることが判りません | ナノ



青ちゃんがあたしの家に来たので、母が夕食をはりきって作り、青ちゃんもあたしもお腹いっぱいになった所で不意に青ちゃんの膝の上に座ってみた。小学生の低学年のころ、よくあたしがお腹いっぱいになったときにする癖だったから、その癖を知っている青ちゃんは何も言わなかった。

「中島」

すると、されるがままだった青ちゃんが急に後ろから抱き着いてきた。やたらと真面目にあたしの名前を呼んだからなあに、と気軽に言っていいのか良くわからなかったが、いつものように返事をしてみれば青ちゃんはあたしを抱きしめる力をよりいっそう強くした。

「痛いよ、」

素直に口に出して言ってみたが、青ちゃんは返事を返してくれなくてあたしは反射的にため息をついた。青ちゃんってこんな子供っぽい一面があったのか、と改めて知ってしょうがないから抱きしめ返すように青ちゃんの手に触れた。ビックリするほど冷たく、手が冷たい人は心が暖かいと言うのは本当なんだ、と思った。後ろから伝わってくる青ちゃんの心臓の音や、体の温もりが馬鹿みたいに心地いい。このまま眠ってしまってもいいくらい。

「青ちゃん、湯たんぽみたあい」

手以外は、と付け足して瞳を閉じる。満腹状態だから余計に眠たいのかもしれない、と思いつつもあたしは青ちゃんに抱きしめられつつも睡魔に襲われ、意識が遠くなってきた頃にごつんと頭に衝撃を感じたので瞼を開けた。

「青ちゃん…折角寝ようと思ったのに」
「…馬鹿中島」
「え、あたしのどこが馬鹿!?」
「…はあ」

青ちゃんは飽きれたようにため息をついた。青ちゃんが何をしたいのか、言いたいのかわからないあたしは頭の上にクエスチョンマークがついているに間違えない。青ちゃんの手は、あたしが握っていたおかげで少し暖かくなった。

2010 11 02
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