藤くん、もとい麓介さんはとても朝に弱い。
二階にある寝室で、いつも最初に起きるのは私。携帯の目覚ましでは起きてくれないので、私が起こしに行っても中々起きてくれず少し困っている。
今日も朝食を作り終えて、時刻が七時半になる頃。麓介さんはいつもこの時間に起きないと仕事に遅れてしまうのに、私のいる一階へ降りてくる様子は無い。
私は漏れるため息を隠しもせずに吐き出して、しょうがないと呟き階段をのぼっていく。
たんたん、とリズミカルにのぼって行って辿り着いた寝室のドア前で深く息を吐いて、ガタリとドアを開けた。
やっぱり、まだ眠っているのね麓介さんは!
少し涙がでてきたけれど、必死に堪え麓介さんに近づいて布団に埋まっている麓介さんの体を揺する。
「おきてください」返事は無くて、かわりに「んー」と言う寝惚け交じりの小さな声だった。
「おきてください」「あ、と…三分…」「駄目です」麓介さんは返事をしない。また寝始めてしまった。

「起きて下さい」

返事は無い。私は本日二度目のため息をついた。

「麓介さん、起きてくれないと…き、キスしません、よ…っ」
「起きる」

がばりと勢い良く起き上がった麓介さんに、いつもの事ながら唖然として思わず苦笑いをした。麓介さんはいつも、私がこう言わないと起きてくれないのだ。
全く厄介だなあ、と思いつつもそんな麓介さんが愛おしくてしょうがない。

「美玖」
「…はい」
「おはよう」
「おはよう、ございます…」

20101028
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