うぐっ、と喉に何かつっかえているようなそんな不思議な感覚。何よこれえ、とパニックになっている中藤くんは呑気に私の作ったこげかけている卵焼きをぱっくんと食べている。
 嗚呼、これは魚の骨が喉に引っかかったのね。だからこんななんともいえないつっかかえっている感がするんだ。うん、解決。ぱくぱくとご飯を食べている藤くんにばれたらとても恥ずかしいので、こっそりと少し多めの量なご飯を噛まずに飲んでみる。ごく、と飲み込んでも魚の骨は食道を通ってくれない。何故よ、馬鹿。こんなみっともないところを藤くんに見られたら、美玖一生の不覚よ死んだほうがいいわ。
 どうしようと頭が。目が、ぐるぐるしてきた。どうしようどうしようどうしようどうしよう。ショート寸前なその時、藤くんがどうしたんだ?と話しかけてきた。なんでもない。と返事しようとしたけど、声がでない。魚の骨。恐ろしいわこれまで味わったことのない辛さ。

「…病院行くか。魚の骨、引っかかっているんだろ?」

 藤くんががちゃり、と茶碗を置いて病院らしき所に電話をしようと立ち上がった。…魚の骨で病院行きだなんて、生き恥よ。もういっそのこと殺して…!


さかなのほね



2010 08 16
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