最近、藤くんからの視線が痛いほど伝わってくる。私がなにか藤くんの気に触ることをしてしまったのだろうか、と悩む毎日。どうしよう、迷惑そうだから学校を休んだ方がいいんじゃないかな?と母に相談したら「仮病は駄目よー」と軽く受け流された。仮病、ってわけではないのに。と呟いても私以外に誰も私の呟きを聞いてくれる人はいなく、しょうがないからトボトボと重い足で学校に行った。

「あ、」

校門前で明日葉くんと美作くんと話している藤くんをみつけたから、思わず近くにあった電信柱に身を隠す。なんだか私が来た方面から来ている女子たちがこちらを見てクスクス笑っているような気がする、ああもうこんなこと本当はしたくないのに。
早く校門くぐってくれないかなあ、と考えて少し顔を出して三人組を見ていると、くるりと藤くんがふり返りパチリと目が合った。ひいいい!と心の中で叫びつつ、きっと別な所を見ているに決まっていると考え込んでいると藤くんが微妙に顔を輝かせて「花巻!」と大声を上げた。
ビクッと肩が跳ね、そのあとにあらゆる人からの視線を物凄く感じて泣きたくなっていると、藤くんがこちらに近づいてきたから反射的に横に逃げる。

「花巻、逃げんなよ」
「に、ににに逃げたくなりますよう!」
「逃げられると追いかけたくなるんだよ」
「じゃあ近づかないで下さいよぉおお!」

私は逃げた。藤くんがこちらにゆっくり歩いているのをチャンスだと思って一気に藤くんの横を走った。ちらりと後ろを見ていると、藤くんが物凄いスピードでこちらに向かって走ってきた。

「来ないでえええええ!」
「だから、言ったじゃねえか。逃げられると追いかけたくなるんだ、よっ」

追いかけてほしくない私は逃げるばかり。運動なんて体育でしかしない私は正直言って、足が二分ほどで限界になったけれど藤くんもそうらしいと思うのに何故か早くて、ギブアップするまえにガシリと肩を掴まれました。そして藤くんが珍しい笑顔で「次は俺が鬼だな」と鬼ごっこ感覚だったのかこの人は、と思わせる発言をしたので私は引き攣った笑みをしました。

20101102
merciさまへ
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -