『サヨウナラ』と言うものは意外と呆気ないもので、どんなに泣いても足掻いても、結局は別れなければいけないのだ。そのままズルズルと付き合っていても、どうせこちらを向いてくれないのだから…

「じゃあね」

 そっけなく言う臨也さんに俺は何も言うことができず、こくんとただ首を縦に振るだけ。それでも彼は満足そうににっこりと微笑んだ。
 その笑顔は好きで好きで、たまらなかったのに…何故か今見るととても苛々する。きっと俺は別れたくないと思っているのだろう。しかし、臨也さんを忘れるためには別れるしか他に方法などないのだ。

―――別れましょう

 そう言ったのはつい先日。ソファに座っている臨也さんに、俺は悲しげな表情で言ったのだ。本当は別れたくなかったが、帝人や杏里、それに沙樹のためにもしょうがないことなのだ。
 臨也さんはそんな俺の状況を知ってか知らずか、にこにこーと擬音が聞こえそうなくらいの笑顔で「そっか」と言った。嬉しそうだった。ムカつくぐらい。
 サヨウナラ、と言うモノはこういう事なのだ。うす塩ポテチのようなあっさりした言葉。
 元々ノリで付き合うことになった俺と臨也さんだから、余計に―――

「じゃあね、正臣くん。『サヨウナラ』」
「はい……さようなら」

 簡単に漏れた俺の言葉を聞いた臨也さんは、満足そうにどこかへ歩き出す。今まではそれに着いていって、手を繋いだりしていたのだが…今はその手を握ることも、臨也さんを追いかけることも出来ない。





2010 08 11
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -