「青ちゃん、」 「ん?」 「青ちゃんは生まれ変わったら何になりたい?」 「…わかんない」 「そう」 「中島は?」 「え、あたし?」 「うん。中島は生まれ変わったら何になりたいんだ?」 「んーあたしはねえ………生まれ変わっても、青ちゃんの隣に入れるなら何でもいいや」 小鳥の鳴き声で目が覚めた。なんて懐かしいのだろう、あれは中学校三年の、もう少しで卒業だった頃の記憶ではないか。いつもは二度寝してしまう自分だが、今日は違った。青ちゃんの隣にいたい。と願っていた初々しい昔の自分を夢の中で見たのだ。目が冴えて冴えてしょうがない。 中三と言えば、もう五年前か。あたしは呑気に考えつつベットから起き上がった。成人したあたしは、普通のOLになり嫌なこともあるけれど普通に暮らしている。四ツ谷先輩やヒナノとは違う運命を歩むことにしたのだ。 簡単に言えば自立。いつまで経っても親に苦労させる娘などいない。五年前、考えもしなかった普通の職業についているあたしは、最初の頃こそは自炊をしていたが今ではコンビニ弁当がほとんどだ。恋愛だってしない。時間の無駄遣いだから。 いつもより早く目覚めたはずなのに、気がつくとあっという間に時間がたってしまい、今日が賞味期限なクリームパンを食べようと考えていた昨日の夜の自分を裏切るように何も口に含まず、顔を洗い着替えて家を出た。 満員電車に乗り込みぎゅうぎゅう、とオシクラマンジュウをしているような感覚を味わいつつあたしは揺れる電車で瞳を閉じた。すると、下半身あたりになにか不思議な感覚。ぞわわとしててむずむずする。気持ちが悪い、あ、そうか、これ、痴漢か。 幼い頃の夢は砕け散る2010 09 28 すっごい微妙な所で終ったので続きます。 |