やっと会えた。
そんなことをぼんやりと、しかし思わず顔がにやけながら考えていると、少しびっくりしたような、動揺を隠せていない藤くんが、目を泳がせながら口を震わせる。

「久しぶり」

その前に、わたしがはにかみながら言ったら、先を越されたといわんばかりに苦笑いをした。

「そう、だな」

何年ぶりになるんだろーね。なんて相変わらず臆病でチキンすぎるわたしの口からはでてこず、沈黙。それでもいいじゃないか、なんて思考回路。藤くんはなにか言いたげだけれど。

「ずっと、言えなかったことが、ある」

か細く言った藤くんに、わたしはビクリなんて大げさに身体を震わせ、コテンと首を傾げた。

息を吸って。

吐いて。

深呼吸を三回。

身体をほぐして、

藤くんは、


「好きだ」


ずっと聞きたかった言葉。



「わたしも」



20120402


誰もいらないだろうけど、フリー。

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