「花巻の髪って、地毛?」

放課後。居残りだった私を待ち構えていたのか、教室に鞄を取りに戻ったら藤くんがいた。あわわわ、と足が動かなくなって、どうしようと考えていたら、いつの間にか私の髪の毛を触れそうで触れない距離にいた、藤くんが不思議そうに訊ねてきた。
そ、それは私の台詞ですよお。と叫ぼうと思ったけど、やめた。藤くんの髪の毛は染めなければ、それか外国人じゃないと日本人としてあり得ない色をしている。私の、髪もそうだけど。

「地毛、ですよ」
「ふーん。カツラか染めてんのかと思った」
「…ふ、藤くん……こそっ」

思わずカチンときて、言ってみたが、首を横に傾けて聞き返してくる藤くんの髪の毛が、さらりさらり綺麗に舞っていて、

「ん?」

聞き返してきた藤くんに、やっぱりなんでもないです。と身を縮めた。

「変な花巻」

そのせいか、けらけら笑う藤くんは心底楽しそうで。私は身体全てが動かなくなり、ぼおっと頬にライターで炙られたように熱くなった。


20110405
藤花久しぶり(^O^)


- ナノ -