Nが家に来た。 姉さんは朝ごはんができたから一緒にどう?と誘ったが、Nは断った。だけど、母さんも説得して、結局四人で食べることになった。Nは美味しそうに朝ごはんを食べた。いつもは一人だから、大人数で食べれてとっても嬉しい。とNは笑った。胸が痛くなった。ゾロアークはいつの間にかモンスターボールに戻っていて、ポケモンフーズを食べなくていいのだろうか?と思いつつ僕は黙っていた。朝ごはんはいつもより数段美味しかった。 食べ終わり、Nは何のようできたの?と姉さんが問いかけた。Nは僕に用事があると言ったから、姉さんが気を使って僕とNを僕の部屋に押し込むようにいれた。相変わらず力強い姉である。 しかし沈黙が続いて、死んでしまいそうだ。部屋に二人っきりで、もう二十分は経っているであろう。僕は話すことができない、緊張のせいで。だからNから話しかけてもらわないと、と逃げるように考える。 「…迷惑だよね」 Nがぽつり言った。すんげえ声が小さくて、すんげえ聞き取りづらかったけど、Nの声はハッキリと僕の耳に響き渡った。 「迷惑じゃないよ。母さんも姉さんも喜んでるし」 「でもトウヤくんは喜んでないでしょう」 「急に来たから、吃驚したんだ。でも嬉しいよ、Nが僕ん家に来てくれて」 Nはありがとう、と言った。少し泣いているようで、グスッと鼻を啜った。 「ねえ、N」 「なあに?」 「僕さ、Nが大好きだよ」 「ボクもだよ」 「多分Nの好きと違う。恋愛的な意味の好き」 Nは黙った。ふられてしまったのだろう、胸が痛む。と言うかなんで今告白するんだろうか、僕は。馬鹿みたいだ。馬鹿すぎて、涙が出てくる。 「なんで、泣くの?」 「Nにふられたから」 「返事してないよ?」 「黙るってことは、無理ってことじゃないか」 「そうじゃない。うれしいんだ、ボクは」 どうして?と言ってNを見ると、Nは少し目を赤くして笑っていた。 「ボクも、トウヤくんが好きだから。恋愛的な意味で」 恥ずかしそうに言うNが可愛くて、大好きで、押し倒した。 一瞬だけ僕のものになってよ、好きだよ20101128 |