「…おい、聞いてんのか。」
「んー、聞いてる聞いてる。」
舌打ちが聞こえたかと思えば、弄っていたスマホを取り上げられ、三蔵の不機嫌な顔が見えた。
気に入らない、と顔に書いてある。

「悟浄さんにメールできないじゃん。」
「あいつは気に入らん。」
スマホはきれいな放物線を描いてベッドの上にぽすりと音をたてて落ちた。

三蔵はこっちが構おうとすれば嫌がり、逆にこっちが忙しいときにこうして構ってアピールをしてくる。
なんなんだ、ほんと。
さっき私が話しかけた時は生返事しかしなかったくせに。

「三蔵って猫みたい。」
「……俺は猫だ。」
「あ、そうだった。」
いつも人間姿なので忘れてました。






「…おい、これはなんだ。」
三蔵が半ば呆れた顔でねずみのおもちゃをつまむ。
うん、絵的にすごくシュール。

「あー、同僚に猫飼い始めたって言ったら好意でくれたの。」
苦笑いして答え、他にもらったおもちゃたちを机に並べる。

うちの猫はそういうの好きじゃないかも、とやんわり断ったが押し付けられてしまった。
そういうの風に見える子ほど意外とおもちゃが好き、らしい。
本当かなぁ。

遊んでみる?と問いかけ、試しに机の上で猫じゃらしを揺らしてみる。

案の定、「からかうな」と怒られました。


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