「no nameちゃんって、うさぎさんみたいですねー。」

脈絡なく、那月くんが突拍子もないことをいいだす。
ちょうど今野菜スティックを食べてるからだろうか。

「食べてるものもそうですけど、食べ方がうさぎさんです。」
かわいいです、ぎゅーしていいですかとニコニコ無邪気な笑顔でいうので、否定する気を無くしてしまう。

「あ、そうだ。僕の目をじっと見つめてください。」
そう言ったきり那月くんは口を閉じて真剣な表情で私を見つめる。
私も不思議に思いつつ見つめ返す。


「…那月くん?」
「はい。」
「もう、いいかな。」
はじめは平気だったのに、那月くんの普段見せない力強い瞳、引き結んだ唇になんだかドキドキしてきてしまった。

それにしても、なんで突然見つめあおうなんて言ったんだろう?
「うさぎさんは大好きな飼い主に見つめられると偽妊娠するそうなんです。
no nameちゃんがうさぎさんに似ていたので思い出して試してみました。」
「?!」
「あ、お尻を撫でられてもなる場合があるみたいです。」

驚いて那月くんの顔をみるも、ニヤニヤ笑っている訳ではなくむしろ無邪気な笑みを浮かべていた。


…とりあえず、他の人にこうゆうことするのは駄目だよって教えてあげようとおもう。
いくら那月くんでもこれはセクハラだよ?


天然セクハラ

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「見えない臓器の名前は」
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