上る大人の階段


「お茶、用意するね。」
「あ、いいって。それよりno nameを抱きしめた い。」
そわそわと落ち着かないらしく、立ち上がろう とするno nameを押し止める。

今日は昼からno nameとデートして、外でディ ナーをした後あと家まで送り、no nameを丸め込 み家に上がらせてもらった。
男性慣れしていないにno nameとって、あれよあ れよと家に招くような話の流れになったとき は、狐につままれた思いだったに違いない。

座っているno nameを背後から抱きしめ、緩く腕 を腹にまわす。
「なぁ、今日泊まってっていいか?」
ちらりと顔を覗きこむと狼狽えているようだっ た。
no nameは一人暮らしで、明日は休みだと聞いて いる。
断る理由が思い浮かばず焦っているのだろう か。

俺は髪を退け、ほっそりとした白いうなじに唇 を落とす。
唇が触れる度にピクリと肩がはねる。
次に、腹にまわしていた手を徐々に上にあげて 膨らみをやんわりと包みこんだ。
「あ、あの、悟浄…。」
俺の手を押さえ、眉をへの字にしたno nameが振 り返る。
「まだ、心の準備、できてないの。」
押さえられた手からno nameの心臓が早鐘を打っ ているのが伝わってくる。
no nameが嫌がるだろうことは予想がついてい た。

「no nameが嫌がるならしねーよ。」
「ごめん。」
「じゃあさ、なんで嫌なのか教えてくんね?」

実は、今までもこのようなやり取りをして、そ の先に進むことがなかった。
最初は俺が初めて付き合う人だといっていたの で、言葉通りに受け止めていた。
しかし、こう何度も流されるということは、そ うではないらしい。

別にno nameとは体目的で付き合っている訳では ない。
しかし、好きな人と愛を確かめたいと願うのは 自然のなりゆきである。
だからこそ、なにがこの行為を阻むのかを知り たかった。

「うん、あの、ね。」
ぽつりぽつりとno nameは少しずつ話はじめる。
話しやすいように軽く頭を撫でながら続きを促 した。

「悟浄は、今まで沢山の女の人を相手してきた でしょう。結局、女は肌を合わせれば誰だって 同じようなものじゃない。ただ喘ぐだけなの。 私は、今までの人と同じになりたくないから。」

どうしようもなく好きなの、悟浄といって顔を 伏せる。

そんなno nameがかわいらしくて、いとしくて思 わず抱きよせた。
「…確かに、過去の俺の行動はno nameを不安に させるのはわかる。けど、no nameは今までの女 と同じように扱わねえし、扱うつもりもねぇ よ。」

俺が原因だったのか、わりぃと詫びるとno name が控えめに腕を回してくる。
「続き、して?悟浄のこと、信じるから。」

信じるといってくれたno nameを裏切らないよう に誓いをこめて俺はno nameの手にキスをした。


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