ハナナ日和A




「華魅ちゃん!華魅ちゃん!」


「あー?」


とある午後の昼下がり。
太陽の光を浴び、家の庭をパタパタと飛ぶ蝶を眺めながらウトウトとしている翔天馬 華魅のもとに、ナナ・スカーレットは再びやって来た。


「何見てるの?」


「蝶だよ。」


自分の視線の先を探しながら聞くナナの質問に答えると、ナナはあからさまに嫌な顔をした。


「え、ちょうちょさんが可哀相だよぅ……」


「失礼な奴だな。」


「今更なことだよ。」


「大体人ん家訪ねるなら庭からじゃなくて玄関から来いよ。」


「はミュミュ!華魅ちゃんってば酷いよぅ!みんなお庭から入ってくるのに何で僕だけにいうの?」


「庭から入ってくるのはお前しかいねーよ!」


「そんなはずないはずだよ!」


「曖昧だな。」


「華魅ちゃんはいったいみんなの何を見ているのかな!」


「特に何かを見ているわけじゃねーけど。」


「ほら!だからわからないんだよ!」


「いーや!庭から来るのはお前くらいだ!ヒーも李雨もラムもナユタも玄関から入ってくる!」


「はミュミュ?アクアは?」


「大将は…………気づいたら家にいる…」


「あぅあ、確かにそーだね!さすが僕のアクア!」


「どこら辺が"さすが"なんだ。不法侵入もいいとこだぞ。」


「僕、難しい言葉わかんないよ!」


「………あーそーかい。」


「あ、今返答をめんどくさがったよ!」


「そんな毎回毎回頑張ってられっかよ。」


「頑張ることはいいことだよ!頑張って!」


「ツッコミに命懸けろみたいな事いうな。」


「どうしたの?なんだか疲れてるみたいだよだよだよ。」


「だよが多いっての。それに疲労の原因の三分の一はお前だ。」


「酷いよぅ!なんてこと言うの!あ、でも後の三分の二は?」


「大将。」


「アクアは悪くないよ!」


「人の家の冷蔵庫の中身を全て食べ尽くすくせにか?人の家の廊下に落とし穴を仕掛けるくせにか?人の寝顔に落書きするくせにか?人の寝室に爆弾仕掛けるくせにか?会った瞬間バズーカ撃ち込んでくるくせにか?人に賞味期限切れの食べ物を押し付けるくせにか?人の―――」
「うるさいよ華魅ちゃん!アクアだったら何しても許されるんだよ!」


「何その特権!?」


「ふふふ。アクアはやっぱりかわゆーなんだよぅ〜」


「同性相手ににやけんなよ。誤解されるぞ。」


「僕は別にいーんだけどな!」


「……………」


「華魅ちゃん?」


「悪いとは言わないが、よく考えた方がいいと思うぞ。」


「えぇー?でも華魅ちゃんも人の事な言えいよ?」


「あ?どこがだよ。」


「雛魅ちゃんとあんな事やこんな事やそんな事をしてるもん!」


「あれは姉妹愛だよ。」


「え?でも雛魅ちゃんは―――」
「姉妹愛だ。」


「可哀相な雛魅ちゃん……」


「………るせっ!」


「………あ。」


ナナは何故か急に華魅の後方見て固まる。


「?どうした?」


「好きじゃ、ないんですかぁ…?」


華魅は聞き覚えのある涙声を聞き、恐る恐る後ろを振り返る。


「……ヤァ、ひー、オカエリ。」


「雛魅ちゃんおかえりなさいだよー!」


「ハーちゃん。」


「ばいと終ワッタノカ、アァモウコンナ時間カ。」


「ハーちゃん。言葉がカタコトです。」


「………気のせいだよ。」


「ハーちゃん…私達の愛は…そ、そ、そんなものだったんですねぇぇぇぇぇえええ!


雛魅ダッシュ。


ヒー!!違うんだ!別にそういうわけじゃ…!いや、確かに恋愛的愛はないけど、好きだからァァァァアアア!


華魅ダッシュ。


「あぅあー、二人とも行っちゃったよ。さて、僕もかーえろっと!」


ナナはスタスタと家を出た。



その日の夕飯時、異様に雛魅に話し掛ける華魅の姿があったとかなかったとか……






おわり




 † † †
(あとがき))ナナがどんどん黒くなってく不思議。
華魅は雛魅の涙に弱いです。




ハナナ日和


Back



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -