赤頭巾ちゃんパロ
† † †
とある深い深い森の中、臆病者の狼――― ナユタはきのみを採りに道を歩いていた。
臆病者であり、心優しい彼は、本当は肉食であるはずなのだが、無理をしながらキノコやきのみだけで生活していた。
さて、目的地に到着したナユタは早速樹に実っている甘いきのみを採り、持ってきたカゴに入れはじめた。
が、その時…
スタスタと道を歩く様な音が耳に入り、ナユタはチラリと音が鳴った方向を横目で見る。
するとそこには、この辺では珍しい風貌の、美しい少女が歩いていた。
頭に被った可愛らしい赤い頭巾。
その頭巾の隙間から、流れるように伸びる白銀の髪。
頭巾より少し深い色をした紅い瞳。
服の隙間から見える白い手足。
……右手に担がれた大きな鎌。
…その鎌に突き刺さっている真っ赤な林檎。
赤頭巾――― アクアである。
ナユタはすぐに…
目 を 逸 ら し た 。
危ない…
危な過ぎる…
何アレ死神…!?
立ち去ろう…
すぐにでも立ち去ろう…
そう思いゆっくりと体を回して足音をたてずに歩きだした……が!!!
ガ シ ッ
肩をつかまれた。
背中に嫌な汗が流れる。
「ナユタ。」
真後ろから凛とした声が聴こえてきた。
「いや、アクア。ちゃんと役意識してよ。俺達とりあえず初対面だよ?君は今赤頭巾なんだよ!?」
ナユタは焦り気味に訴える。
「この林檎でアップルパイを作りなさい。」
アクアは鎌に突き刺さっている林檎をもぎ取り、ナユタに突き出す。
「いや、無視?っていうか無理だから。俺今狼だし。」
そう言った途端、ナユタの首にヒヤリとしたものが触れる。
勿論大きな鎌である。
「作れっての、このヘタレ。」
「酷すぎるにほどがあるよアクア…いや、赤頭巾ちゃん。た、食べちゃうよ?」
ナユタは恐る恐る聞いてみるが、返ってきたのは言葉ではなかった。
ド グ ォ ッ
ナユタは全治二ヶ月程の怪我を負った。
「痛い!痛い痛い!」
「さっさとつくれってば!アップルパイ!あたしの大好きアップルパイ!甘いの大好きアップルパイ!」
アクアはとうとう甘党ぶりが表面に出てしまったのか、性格が崩壊しかけている。
「わかった!わかったけど取り合えず帰ろう!」
ナユタは暴れだしたアクアを抑えようと懸命に呼び掛けるが……
ド グ ォ ッ ッ !
「ぐァァァアアア!!!」
ナユタは全治五ヶ月の怪我を負った。
彼の悲劇的日常は、これからも続く。
めでたし、めでたし♪
† † †
意 味 不 明 \^o^/
D†H
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