「ああそれ池沢佳主馬だよ」

 同じ物理部の佐久間敦に諸々を話したところ、健二を助けたのは池沢佳主馬というらしい。
佳主馬は見た目良し、頭良し、運動良しの三拍子で人気だ。
夏希といとこでもある。
それを聞いた健二は、凄いんだねと感想を漏らす。
佐久間はすかさず健二の目の前に人差し指をたて左右に揺らした。

「それだけじゃない。キングカズマじゃないかって噂もあるんだ」

健二はさほど驚くこともなく、頷く。
目の前で見せられたあの拳法はまるでキングカズマのようだった。
故にキングカズマが佳主馬と言われても健二は納得できる。
まるで自分の話をするように語る佐久間の横で、健二は突然立ち上がった。

「お礼言うの忘れた…!」

慌てて部室を出ていこうとする健二に佐久間は携帯を投げる。

「それぐらい持ってけ」
「ありがとっ」

まだ帰ってないことを祈って、健二は走った。





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