おにいちゃん


「ねぇねぇ! 昨日本屋で見たよ。ひまわりちゃんのお兄さんかっこいいねっ」
「こんなかっこいい人がお兄さんで羨ましい!」
「……そう? ありがとう」

羨ましい?
じゃあ代わってよ、と言いたくなったのをグッと堪える。
悪気はないのだ。
ただ純粋に言ってるだけ。
私がしんのすけに恋をしてるって知らないから言えること。
笑えるわよね。
妹が兄に恋するなんて。
当の本人は私がかっこいいと思ってるぐらいだから本当にかっこよくて。
だけど内面はお調子者というギャップも人気の一つらしい。

「野原」

唐突に呼ばれて、思考が遮断された。
肩に手を置かれたのを素早く払って振り返る。

「……何?」
「ちょっと来てほしいんだけど。」




「ひーまっ! どうしたんだぞ? そんな微妙な顔して」

ツンツンと頬を指で軽くつつかれる。
他の奴が私に触るのは嫌だけど、しんのすけは別。
縁側に私は体育座りで、しんのすけは胡座で黒い空を見つめる。
言うかどうか迷っていると、シロが隣にきた。
くぅんと心配そうに鳴くからポロリと言葉が出てしまった。

「……コクられた」
「誰にだぞ!? ちゃんと振った?」
「隣のクラスの藍沢君。返事は保留だけど」
「中二でお付き合いは早いぞ!」

しんのすけだって中二で彼女作ってたじゃん、と言えば、なんのことだぞって誤魔化された。
好きじゃないのに付き合えないという気持ちとしんのすけへの思いを絶ちきるために付き合うのもいいかもしれないという思いがまざる。
なんにしろ、辛いことには変わりはなさそうだけど。

「ひま。ひまは幸せになるんだぞ」

ぽすんとしんのすけの大きな手が頭を撫でる。
なんだか目頭が熱くなって、膝に額があたるぐらいに俯いた。

いつか、捨てるから今はまだ貴方のことを好きでいていいですか。
おにいちゃん。



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切ない…
ひまわりは可愛いからモテるよ
映画の大人ひまわりすごく可愛かったし




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