晒し蕩け



「キレネンコさんはニンジン以外あまり食べませんねー。」

 キレネンコが横になっている向かい側でプーチンはレニングラードを撫でながら小さく呟く。
扉が乱暴に開く音がして、カンシュコフがおやつを持ってきた。

「おい、おやつだ。受けとれ」

プーチンは嬉しそうにおやつを受け取り、片一方のお皿をキレネンコの側に置いた。
じゃあな、とカンシュコフは部屋を出て行く。
ぱくりと角砂糖を口に含むと下の上で溶けた。
ざらついた感触と甘い味が口に広がる。
(美味しい、のになあ…)
キレネンコをじっとプーチンは見て、思いついたように立ち上がった。

「キレネンコさん!」

キレネンコの目の前にプーチンは仁王立ちする。
片手にはキレネンコの分の角砂糖。
キレネンコはちらりとプーチンを見た。

「た、食べちゃいますよ!? ほらぁー」

角砂糖を一つ手に持ってプーチンは口に持っていく。
プーチンにとっては本気で、ただこの美味しさを味わってほしかっただけだけなのだけど、空回りしている。

「……。」

音もなく立ち上がったキレネンコがプーチンに近づく。
食べてくれるのかなというプーチンの期待が淡く消えた。
プーチンの指の角砂糖を咥え、そのまま口づける。
甘い味がプーチンの口にも広がって、やっと状況把握。
プーチンの舌にある溶けた角砂糖をキレネンコの舌が舐めとる。
ごくりと喉に甘い甘い味が通る音。
抵抗することも忘れてプーチンはされるがままでいた。

「んあ…き、れえ…こさんっ…」

息が苦しそうにプーチンはキレネンコの胸を叩く。
それでやっとキレネンコは離れた。
プーチンは息をあげ、顔を赤らめながらキレネンコを見上げる。

「……甘い。」
「ですよね! おいしいでしょう?」

キレネンコが呟けば、プーチンは表情を輝かせた。
それを遠目で見ていたカンシュコフは恥ずかしさで顔を真っ赤にさせながらも吐き捨てるように言った。

「なんだこいつら…、絶対角砂糖より甘い。こっちが胸やけするって…。」



--------------------------------

誰も美味しいなんて言ってないのになんて健気(?)なプーチンだこと





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -