どうにもならないこと



 天気は快晴、少し熱すぎるけれどデートに支障はない。
なのに。

「大丈夫? 佳主馬くん…」

心配そうに健二さんは顔を覗きこんでくる。
大丈夫だから、と言おうとしてせき込んでしまう。

「っごほ…だい、じょっ…」
「大丈夫じゃないって! ほら寝て。」

上半身だけ起こそうとした自分を健二さんは布団に押し返す。
なんでこんな日にかぎって風邪なんて引いてしまうのだろうか。
ずっとパソコンしてないでもっと早く寝ておけばよかった、と後悔が押し寄せてきた。

ピピ、と機械音がして体温計が鳴る。
表示された温度を見れば、38度ぴったし。
溜め息を吐きたくなった。

「うわー…、高いね。 大丈夫? 苦しくない?」

健二さんが心配そうに言うから逆に恐縮してしまう。

「大丈夫だって。それより……、翔太兄と今日行けば?」
「え…?」

嫌だけど、本当は自分が行きたいけれども。
翔太兄なら今日は休みだと思う。
それに車運転できるから健二さんも楽だろうし。

ちらりと健二さんを見れば困ったような苦笑を浮かべていた。

「んー、別に大丈夫だよ。」

気を遣っているんだろうか。
別に自業自得だからいいんだけど、…あまりよくないけど。

「…なんで? 行って来れば。俺は大丈夫だし…。」
「ううん。だって佳主馬くんと行けないんだったら意味ないし……、あ。」

かあ、と一気に健二さんの顔が赤くなる。
すぐには理解できなくて、呆けた顔をしたけれど。
え、それって。

「いやいやいや! 深い意味はないから!」

耳まで真っ赤にしている健二さんは慌てて手を振りながら否定する。
なんで本当に風邪なんて引いてしまったのだろうかと激しく後悔した。

風邪なんかなければ今すぐにでも抱きしめてキスしたいのに。






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なんでこんなにカズケンって素晴らしいの




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