ホットミルクチョコのお味
「やあ、ルークくん!」
バンッと大きな音を立ててクラウスが部屋に入ってきた。
ソファーに座っていたルークは引きつった顔を隠そうともせず、露骨に嫌そうにしている。
だけどクラウスはペラペラと喋りかけていた。
ふと、思い出したようにクラウスはこちらに目を向ける。
「先生も、こんにちは」
ついでに挨拶したと言わんばかりのニュアンスに、気にした様子を見せず挨拶を返す。
ルークが私に対して失礼だとクラウスに非難の声を浴びせた。
それに制止をかけて、背もたれに寄りかかる。
することもなく、二人を遠目から見た。
「これ、ルークくんに。」
クラウスはルークに長方形の箱を渡す。
訝しげに箱を開けたルークが微妙な表情になった。
「何ですか…、コレ。」
箱の中身はチョコ、けれど変な形をしている。
長く太くて、少し反っていて。
…これ、は。
「何って、ナニだよ! 僕のをリアルに表現したんだ。なかなか難しかったよ。中はホワイトチョコレートだからね。ぜひ食べて…いや、しゃぶってく」
クラウスの言葉が途中で途切れる。
うつむいていたルークが、息を荒くしたクラウスの顔面に箱の中身ごと叩きつけていた。
胸中でこっそりと、やはりと呟く。
「食べません! 何言ってるんですか! 帰ってください!」
ルークが怒りながらクラウスを追い出した。
嵐が去ったように静かになった部屋でルークは溜め息をつく。
それからとことこと私に近づいてきて、見上げてきた。
「あの、先生は…? あ、いえ、あの違くて。やっぱりなんでもありません……」
ふむ、と顎に手をあてる。
考えていなかった、むしろ程遠いものだと思っていた。
少し考え、閃く。
ホットミルクを作り、市販の偶然あった生チョコをいくつか入れる。
かき混ぜてルークに渡した。
「代わり、だよ。」
こんなものしか作れなくて面目無い。
それでもルークは微笑んで、嬉しそうにマグカップを握っていた。
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これ美味しいと思う?
なんかこういう商品が売ってるから飲んでみたいなぁ