「あ、あ、ぁんっ…」
ぐちゅぐちゅと卑猥な音が下肢から響く。繋がってる音。自分のアリエナイ声。
あー気持ちイイ。
身体の中をかきまぜられて、奥を突かれれば堪らない。
もうだめ。だめ、イく。
「くっ…ぁ、や…イっ…!」
真っ白、昇天。
「っ…向、日さん…!」
…さいあく。何の為に目隠ししてると思ってんだよこのヒヨッこ。
俺は侑士とセックスしてる気分だったのに、今ので台無しじゃんか!
ずるりと日吉自身が引き抜かれて、太ももに伝い落ちたソレに何だか虚しさを感じて目を閉じた。
腰が重い体中が痛い。眠っていたいのに意識はそれを許さない。
おとなしく目を開け、その目を覆っていた布を外す。
「やっと起きたんですか。死んだのかと思いましたよ。」
憎たらしく悪態をつく人物に焦点を合わせる。
「勝手に人の事殺してんじゃねーよ馬鹿。」
お前の前で死んでたまるか。
くつくつと笑い出す日吉に更に苛立ちが増す。
「馬鹿はどっちですか、向日さん。」
睨みあげても効果なし。コイツはそういうやつだ。
「寝言言ってましたよ?"ゆうし"って。」
カァっと頬に熱が集まるのが分かる。思わず振り上げた手をいとも簡単に掴み上げられ痛みが走った。
「っ…!」
「馬鹿な人。俺は忍足さんじゃありませんよ?」
そんなの分かってる。お前なんかが侑士であってたまるか。侑士はもっとかっこよくていい奴なんだ…。
俯いて唇を噛むと顎をとられ無理矢理上をむかされる。なんて奴だ、一応俺がセンパ イなんだぞ。
「抱けと言ったのはあなたのほうでしょう?なんでそんな顔をしているんです?」
分かっているくせに嫌味なやつ。
「わざわざ目隠しまでして、俺には一切口を開くなと強要して。そんなにセックスしたいんですか?」
ちがう。
「忍足さんに捨てられたっていつになったら気づくんですか?」
うるさい。
「う…るせーんだよ。」
搾り出した言葉は頼りなく、頬に流れた涙は幻だと言い聞かせた。
俺と侑士は恋人同士だ。同姓だとかそういうのは関係ない。愛し合っているし、手を繋いだり、キスをして、抱き合い、セックスだってする。
あいしてるから。
そんな関係が崩れだしたのはいつからだったろう。
侑士がだんだん離れていき、俺はそれにしがみ付いた。
だって俺には侑士しか居ないから。俺の全ては侑士だから。
それでも神様は残酷だった。
どうして?俺が何をしたっていうんだよ。
どうして俺から侑士を奪うの?
日吉との関係が始まったのはこの頃。
きっかけなんて覚えていない。たまたま近くにいたから、それだけ。
きっと侑士は戻ってくる。だからそれまで、誰でもいいからこの隙間を埋めたかった。
「うっ…ひっ、く…」
「…何泣いてるんですか。泣きたいのはこっちですよ。」
自分でも分かっていた。侑士はかえってはこない。もう俺を見てくれない。
どんなに俺がぼろぼろでも、それを見て汚いと思うに違いない。きっと哀れんでさえくれないであろう。
それでも今、無性に侑士に会いたかった。一度でいい。愛してくれなんて我侭言わないから。ただ一目でいいからその目に俺を映してほしいだけ。
脱ぎ捨てられた服を羽織ると、引きずるように扉の前まで行きドアノブに手を掛ける。
「忍足さんのとこ、行くんですか?」
ちらりと後ろを振り向けば哀れむような日吉の目。
侑士はそんな視線すらくれないかもしれない。
それでも行かなくちゃ。きっとこれが最後。
ガチャリとドアを開け外に出る。冷えた風が体中に染み渡り泣きそうになる。
もたつく足を叱咤し、侑士の家へ向かう。
約束などしていない。追い返されるかもしれない。
それでも行かなくちゃ。
涙で滲んだ視界を一度手で拭い、顔を上げ歩き出す。
侑士の家まで約30分程であろう道のり。
まるで死刑台を上っているようだ。
携帯を開き、侑士にメールを打つ。
"久しぶり、今から家行ってもいい?"
それだけ打って送信し、携帯の電源を切る。
返事はこないかもしれない。
家にいないかもしれない。
それでも行かなくちゃいけないんだ。
侑士に会いたい、その思いだけ抱いてゆっくりと足を進めた。
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わけわからなくなった久々の更新です。
つづく、のかな?
ちょっと考えながらすすめていこう。
可哀想ながっくん大好物です。