仲の良い友人のはず、だった
練習後の部室、先程まで騒がしかったそこだがだんだん暗くなってきた空に合わせるように皆帰路についた。

俺と、岳人以外。

余程疲れたのだろう、部室に入るなりソファに倒れ込むように眠ってしまった岳人。
(確かに今日の練習はハードやったな)
一度眠ったら中々起きない彼。宍戸や跡部は起こせばいいと言ったが、何故か俺はそれが出来ひんかった。
俺が鍵を預かるからと言い、渋々といった感じの皆を見送り30分くらいはたったやろか。
未だ岳人は起きる気配がまるでない。

時折寝返りをうち、丸くなって眠る姿に心がきゅんとなる。
(きゅんって…俺は女子か!相手は岳人やで!?)

ぶんぶんと頭を降り心を落ち着かせる。

だが再び岳人を見ると、また心臓が暴れ出す。
長い睫、本当にテニス部なのかと疑いたくなるような白い頬、そしてふっくらとしたピンクの唇。

あかん。何でか分からへんけどこれ以上岳人見てたら頭おかしなる、やっぱ早よ起こそ。

そう思って岳人に手を伸ばし軽くその手に触れた時、

きゅっと岳人が忍足の手を握った。

無意識による行為ではあるが今の忍足には効果抜群で。

固まって動けない忍足にトドメの一言。

「ゅ…ーし…。」

一体コイツは何の夢見とるんや!?

顔を赤らめて座り込む忍足。
(もちろん手は握られたまま。)

もう、堪忍…早よ起きてや岳人…!
このままやと俺どおにかなりそおやわ!

そんな忍足のことなど露知らず、岳人はすやすやと眠ったまま。


落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせる彼がその気持ちに気付くのはもう少し先のこと。




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