ハローハロー☆グッバイ



ど田舎ってほど田舎ではないけど、周りは田んぼに畑がいっぱい。
平成の大合併で市に統合されたらしいけど、そんなこたぁ知ったこっちゃ無い。
そんなどこにでもあるような、小さな田舎町で偶然見つけた不動産。

ちょっと古びた庭付きの日本家屋。
曰くつきらしくて長いこと入居者が居なかった、訳あり物件。
不動産屋のオッサンは青い顔して「止めたほうがえぇ」って言ってたけど
あたしもばあちゃんも生憎そういうのは気にしない性質なので。
迷わず土地ごとまるっとお買い上げしたのが先々月。

放置されてた家だから、住めるようにリフォームして、引越し可能になったのが先週。
引越しトラックを引き連れて、全ての荷物を運び込んだのが今日の昼。

リフォーム業者と引越し業者に礼をして(リフォーム業者は二度と依頼しないでくれと叫んでいた)
引越し蕎麦を食べて、数百メートル先のご近所さんに挨拶して、
気がつけばすでに日も落ちかけていた。

少々崩れかけた石門に、表札をつければ
今日からここがあたし(とばあちゃん)の城だ。

「さぁばぁちゃん、のんびり田舎ライフを楽しもうじゃないか!」

そう、意気揚々と我が城へと一歩踏み出したのは玄関の引き戸を開けるまで。

ガラガラと戸を開け放ち、ただいま今日から我が家!と一歩足を踏み出した瞬間、

それが、この奇妙で面白おかしい生活のハジマリだった。


お前等全員家帰れ!!





08月09日更新!


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