※中学生臨也(15)×情報屋帝人(21)








 なんで背が伸びないのだろう。
カルシウムが足りないわけじゃないと思うけれど。
空になった牛乳パックをゴミ箱へと投げた。





「臨也くん、いらっしゃい」
「帝人さん」

 ふわりと笑って迎えてくれる彼はどうみても年相応には見えない。
けれどこう見えても大学生であり池袋で情報屋をやっている。
その彼に促されて、礼儀よくソファーに腰掛けた。

「ジュースでいいかな?」
「……俺もう子供じゃないんだけど。義務教育だって終わるし」
「そうだね、」

ごめんねと謝ってはいるが子供扱いは止めてくれそうにない。
今に始まったことではないけれど、はやく対等にならなければならないのに。
目の前に珈琲が置かれ、テーブルをはさんだ向かい側に帝人さんも座る。
珈琲を一口啜るが異様な甘さに思わず顔をしかめてしまった。
帝人さんはにこやかに笑いながら、ブラック珈琲を少しずつ飲む。
淹れてくれたのに文句を言えるはずもなく、一気に飲み干せば砂糖の甘ったるさが後味に残った。

「そっかあ……、高校生になるんだ。高校はどこに行くの?」
「来良学園だけど」
「ああ、来良ね。じゃあ僕の後輩だ」

あそこは良いところだよ少し退屈だけれどね、帝人さんは懐かしそうにまだ幼い俺を見る。
そんな視線を振り切るように、頼まれた情報が入ったファイルをテーブルに置く。

「それで、このことだけどさあ。これぐらい俺使わなくとも帝人さんだったら出来るじゃん」
「ありがとう。お礼は何がいい? 物より現金がいいかな」

俺の質問には答える気さえないのか財布を取りだそうとする手に、身をのり出して手を重ねる。
不思議そうにこちらを見る帝人さんとの距離は急激に縮まっていた。
キスさえ出来そうな近さ、次いで出た言葉に帝人さんの顔が歪む。

「お礼はキスでいいよ」
「い、やだ……」

はっきりとした拒絶に胸が引き裂かれたように痛い。
なんでそんなに、やっぱり俺が子供だから?
うつむいた彼の額を見つめる。

「っだって! …臨也くんは子供で。僕はこんなに年だってとってるし、それ以前に男同士だよ。…まだ臨也くんはこれからだし、カッコいいからきっと女の子だってほっとかないだろうから、」
「え、それって」
「それなのに臨也くんはどんどんかっこよくなっていくし、距離をとろうと思ってもどうしようもないこと頼んじゃったりして。ああもうほんと……ごめん」
「なんで謝るの?」

帝人さんの赤くなった顔に手を添える。
人目が気になるなら、年の差が気になるなら。


「内緒の、今は内緒でいいから、キスをちょうだい」



あと数年もすれば、背も能力も追い越して。
そうしたら誰にも何も言わせない帝人さんが気にしないまわりを作ればいいことだ。








 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
大人の君、子供の俺様に提出させていただきました!!

臨也が誰状態ですみません…