Sexual desire 01
「な〜、まんこってグロくね?」
「ま"っ…!?」
――それは、友人である昴(すばる)のこんな一言がきっかけだった。
中学生ともなれば、性に関する知識も興味もあって当然の年頃だ。ボクだって人並みにそういうものに関心はあるし、入学祝いとして両親から買ってもらったノートパソコンでそんな類のものを検索したこともある。別になんにもヘンなことではない。ん、だけど……
「なーなー莉久見たことある?!なんかぐちょってしててまーじでグロかった!な、そう思わねぇ?」
こんな話題、なにも給食を食べてる時に言わなくてもいいんじゃないだろうか――
海藻サラダに伸ばしていた手をゆっくりとおろして、どうせ言ったってきかないだろうなと思いながら、楽しげに口を動かす昴を静かに見やった。
Sexual desire
〜中学生の性的衝動〜
僕と昴は所謂幼なじみというやつで、幼稚園からずっと僕の隣には昴がいた。
でも今まで同じクラスになったことが一度もなくて、中学にあがってから一番嬉しかった出来事といえば、昴と一緒のクラスになれたことだと思う。
「え!なに莉久自分のパソコン持ってんの!えーいいなー!やらしてよ!俺んとこ家族共有だから好き放題できないし!っな!」
「あ〜…うん、いいよ」
見慣れた人当たりの良い笑顔を向けてくる昴に頷いてみせながら、どうせ好き放題えっちなやつが見たいだけなんだろうな…と、性に限らず何事にも貪欲で開けっ広げな昴をどこか羨ましく感じていた。
僕は我ながら内向的な性格で、友達もそんなに多い方でない。
人間関係だけじゃなく何に対しても内気で、だから自分だけのパソコンがあっても昴みたいに躊躇なくえっちなのを検索するなんて以っての外だ。
この前初めてネットで色々見た時だって、途中で恥ずかしいというか、なんかイケナイことをしているような後ろめたい気持ちが溢れてきて…ぱたんと画面を閉じてしまったくらいなんだから。
僕とまるで正反対な昴は、羨ましくもあり、尊敬もしている、そんな存在なのだ。
「ほら見ろよ!うげ〜まじキモイ」
「っ!!…ちょ…っ」
学校が終わり家に着いて、麦茶を用意してくるそんな短時間で早速パソコンの画面にハダカの女の人を映しだす昴にぎょっと目を剥く。
「なんだよその目はー!なぁなぁ莉久はヘーキ?これ見ててコーフンする?」
「……う、うーん……僕もあんまり…かな」
ことん、と冷えたグラスをテーブルに置きながら目を伏せる。
昴はだよなー!と得意げに顔を綻ばせて、カチカチとマウスをいじり始めた。
「おっぱいは好きなんだけどな〜…俺がオカシイのかと思った!や〜莉久もおんなじか〜!よかったよかった!ってうわっ!ごめ!」
途端にパソコンのスピーカーから女の人の喘ぎ声がそこそこの音量で流れだして、慌てて音量を下げる昴。なにしてんの。
「っふ〜…、なぁ莉久」
「ん?」
まだ頭にさっきの女の人の喘ぎ声が残ってるや…。
ちょっとだけヘンな気分になりかけていると、なにやら昴も同じような熱の灯った目を向けてきた。
「このさ、女の人、さ……ちょっと莉久に似てない?」
「っは?…え、似てない、でしょ…」
いや似てるって!とにわか楽しそうにじりじり近寄ってくる昴。
僕はなんとなく後退りしながら、ぶんぶん首を振って否定した。
「髪型もだし体つきもさ、なーんで莉久そんな肌白いワケ?うわっ肌ぷにぷにだし!なにこれもっと触らして!」
「うっ…ちょ、もう……」
僕の手をがしっと掴んだ昴は勝手にそうやって腕をそのまま触りだした。手首からワキのあたりまで揉むみたいに触られてむず痒いような気持ちになる。
たしかにあんまり外で遊んだりもしないし肌は白いかもしれないけど……ぷにぷにってひどくないか?太ってはいないんだけどな、僕。
「っ…!も、くすぐったい昴…」
「ははっいーじゃん!ぷにぷに〜…ぷにぷに〜…あっ!そういやさ、ココとおっぱいの柔らかさが同じって今日鮫島が言ってたんだけど、どーなんだろーな?」
悪戯っ子のような笑みで、昴は僕の二の腕を指でぐにぐに摘んでくる。
「そ、うなの?」
「鮫島がゆってた!え〜じゃあ莉久のおっぱいはこんな感じってこと?」
ニシシ、と白い歯を見せながら吟味するかのように二の腕を揉まれる。
ぼくは男の子なんだから、胸だって無いし揉む対象ですらないよ昴。って言ったってどうせ聞く耳なんてもたずに揉まれるんだろうなぁと分かっているので、そのまま何も言わず昴の好きなようにさせていた。ら、
「っじゃあ確認、な!」
「ひぇ…っ…!」
昴の手がぼくのTシャツの中に伸びてきた。
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