小悪魔受け 01.




「せーんぱいっ!あの…放課後、練習に付き合ってくれませんか?」



リク作品 小悪魔受け



俺は水泳部の部長をやっている。
今日の昼休みに後輩の小泉 恭(こいずみ きょう)にそう頼まれ、快くOKしたという訳だ。

小泉(♂)はまだ一年ながら誰よりも頑張り屋で、もしかしたら今年の大会にレギュラー入り出来るかも知れないと顧問が俺に話してくれた事もある。

そんな小泉の練習に付き合うなど、断るはずがない。俺も小泉には頑張って欲しいからな。




「先輩、僕なんかの練習に付き合ってくれてありがとうございます!」

「いやいや、俺も小泉には期待してんだよ。頑張ろうな!」

「ハイッ!!」


顧問に放課後のプール使用の許可を貰った。テスト期間中の為部活も無いし、放課後に残っている生徒ももう疎(まば)らだ。

外はもう薄暗くなっており、校舎の屋上にあるプールは少し肌寒く感じた。

早速水着に着替えた俺達が、準備運動云々を終えてそろりそろりとプールに足を浸ける。


「ひゃっ!」


小泉が小さく声を上げて俺の腕を掴む。この小動物みたいな小柄で華奢な身体にくりくりした大きい瞳。「きゃー!かーわーいーいー!」と女子達が騒ぐのも頷ける。…って、俺は何なんだ。


「ははっ、大丈夫か?」


おおらかに笑って小泉の身体を支えてやる。なんつぅかこいつは、「守ってやりたくなるオーラ」が出てるよなぁ。役得だ。


「あっ…ハイ…ありがとうございます!」


ニコっと笑って身体を離す。そのままゆっくりと身体を浮かべて、暫くの間水と戯れる。

ピチャピチャと響く水音と、水滴の中で戯れる小泉はまるで「え、人魚か何かですか?」と聞きたくなる程に美しくて、思わず見とれてしまっていた。


「わー…やっぱり、水と遊ぶのは楽しいな…」

「そうだなー…泳ぐのが好きなのは勿論だが、まず水が好きじゃないと水泳部はやってけんしな」

「そうですね…。よしっ、練習始めて下さい!」

「うし。じゃ、とりあえずアップだな、100メートル程泳ぎを見せてくれ」

「分かりました!」


綺麗なフォームで25メートルプールを往復する小泉を、縁に座って眺める。
部長の俺から見ても綺麗だと思う。小泉が、ではなくフォームが。(いや、小泉もなんだけど)

まぁアドバイスせねばいかん事は多々あるのだが、「お気に入りの後輩」という色眼鏡で見てしまっている事は否めない。


「…っぷぁ…っは」


整った息継ぎで水をかく小泉のその姿をじっと見ていた。

…すると何やら様子がおかしい事に気付いた。足が縺(もつ)れたのか、なんといきなりブクブクと水の中に沈んでいくではないか!ハッとした俺は急いで小泉の元へ泳いで向かう。

恐らく足が攣(つ)ったんだろうな。俺が居て良かった。もし小泉が今日一人で練習して足を攣ってたら、と考えたらゾッとした。


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