act.64




「…っ…、ね…先輩のも硬くなってますか?」
『……っ』
「答えて下さいよ。知りたい。先輩のがどうなってるのか…ちゃんと教えて?」
『…ん…な、なってるよ』
「どこがですか?」
『……あ、そこが』
「どうなってるんですか?」
『…っ。た…っ、てる』

こんな形で言葉攻め?するのに抵抗のない自分にも驚きだけど、なんだかんだ素直に応えてくれる先輩が何よりも驚きだ。すごい可愛い。

「っはぁ……俺とこんなことして勃っちゃう先輩…えろいです…」

頭の中で先輩の姿を思い描く。
俺の知らない部屋の中で、携帯を耳に挟んだまま前だけ寛げて手を伸ばしてるんだろうか。すごい、えっちだ…。

『んなっ…、お、お前もだろ…』
「そうですね。あられもない先輩を想像したらもっとガチガチになっちゃいました。んっ……」

しかも早々に濡れてきた。
粘りを指に絡めながら自らのモノをゆっくり擦る。
電話の向こうで先輩も同じコトをしてるってだけで、どうしようもなく興奮してしまう。

『声……』
「はい?」
『いいな…、もっと出せよ』

艶やかな命令口調が、腰にキた。
だからお返しとばかりに、ちょっと激しく手淫を強めて大袈裟に声を出してみる。

「んっ…ぁ……ん…っ、せん…ぱ…」
『…っ……エッロ…』
「ね…先輩も……声、だして?」

こういうのは、恥ずかしがったら負けだ。理性なんて吹っ飛ばして貪欲に楽しむのが正しい。

「先輩のえっちな声、聞きたい…」
『……中村…く…』
「先輩…あっ…ん…先輩のこと考えながら擦るとすご…っ気持ちぃ…先輩は…?」
『……ッ』
「んっ…はぁ…ね…先輩…」
『…んっ……はッ』

微かに、押し殺したような息遣いが聞こえてきた。
俺に感化されて素直に反応をくれる先輩が愛おしくて堪らない。

「先輩もこすってる…?」
『…っ、…ん…』
「先輩やらしい…気持ちいいですか?」
『き、もち…いよ……っ、』
「俺…もっ、先輩がこんなことしてると思うと手が止まんな…っ」

気付けば夢中で左手を動かしていた。
俺、すごい…興奮してる。
ほんと、手ぇ止まんない。

「せんぱ…っ…すき…好き…っ」
『っ………俺…も…っ』

じわっと先端から快感の証が湧き出す。
知らずに腰までかくかく揺らしながら、左手を速めて欲望を育て上げていく。

「はぁっ…は…せんぱ…っ、キス…したい…」
『…ん…、そ…だな…っ』
「して…」

縋るように潤んだ声で言えば、少しだけ間を置いたあとチュ、と耳に水音が響く。
あぁやばい。先輩、電話越しに俺にキスしてくれた。

「嬉し……おれも…っ」

ケイタイを口元に当てリップ音を鳴らす。
先輩に会いたくてたまらない。
電波に乗せた音だけでしか逢瀬が叶わないなんて、物足りないよ、先輩……。

『…っ…は…』
「好き……っ…」


ぱたた、と手にかかる白濁は、どこかいつもよりもどろっと濃く見えた。



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