act.49




「…ふっ………ん゚…っ」

水沢先輩の裸体、熱い息遣い、小さな喘ぎ声、ぬらりと光るいやらしい性器、俺の胸を舐める仕種……
まだまだ鮮明な記憶の中から先輩に関するそれだけを手繰りよせて、右手をせっせと動かす。

「…っ、………っ」

あれから、…先輩と初めてああいうことをしてから、まだ数日しか経っていない。
なのに俺はもう何回…先輩で抜いたんだろう。

「…ん……っ…はっ」

本日二回目の白い雫をティッシュで受け止め、心なしかサラサラしている精液をくるくるとティッシュに包んでごみ箱へと放る。

「…は…っ…は…水沢…せんぱ…」

肩で息をしてまだ荒い呼吸を整えながら、性懲りもなく先輩のことを思い浮かべた。
そのままベッドにゴロンと横になり、ズボンも上げずにぼーっと部屋の壁を見つめる。

先輩…先輩……。
俺とのキスで、そういう気分になってくれた。
俺の胸を、性的な意図を持って舐めてくれた。
俺の裸を見ても、ちょっとアレな声を聴いても、それでも萎えずにいてくれた。
…俺のフェラで、イッてくれた。

うあぁ…思い出すだけで恥ずかしいけど、同時にまたシたいと身体と心が訴えかけてくる。
うぅ、先輩…好きだ、好き過ぎる。やばい。

「うあぁ……」

心の声を実際に口に乗せて、ベッドの上でジタバタと足を動かす。
もうほんと、頭の中が先輩だらけでどうにかなってしまいそう。




先輩とこんな関係になっただなんて、ファンの人達に知れたら一体どうなっちゃうんだろう。ふとそう思った。
そういえば三枝さんからメールもきてたっけ。

『中村〜!(☆_☆)
夏休みコウ先輩誘ってみんなでバーベキューとかしようよ!
無理かなぁ??φ(.. )』

ディスプレイに映る、クラスメイトの先輩ファンからきた顔文字たっぷりのメールを改めてじっくりと読み返す。

「ん〜……」

無理だよな。却下。
そんな暇があるなら俺と会っていて欲しいし、そもそも先輩目当ての子に協力なんて出来ない。

きっかけがあったとはいえ少なくとも俺は誰の力も借りずにここまでやってきた。
それを他人任せにするような軽い気持ちの人間に、先輩は絶対に渡せない。というか誰にも渡す気はないんだけど。

かといって、三枝さんだけじゃなく沢山の女の子が先輩を狙っていることはもう確実で、俺の知らない間に猛アプローチをかけている人が実際どれだけ存在しているのかは判らないわけで……。

「はぁ……」

悩んでたって仕方ない。
しかも、こんな贅沢な悩み。
ちょっと前では考えられないくらいに状況は好転してるのに、それでも…だからこそ、こうして悩みの種は尽きないんだよなぁ。

三枝さんへやんわりとお断りのメールを送信してから、そのまま先輩に電話をかけた。


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