第2話
俺と横田は1年の時から同じクラスで、入学式の時に何故か背の順で並ばせられてて、その時に前と後ろだったのがきっかけで仲良くなった。ちなみに俺が後ろな。
ぶっちゃけいえばそん時から俺は横田に惹かれていて、そこから約2年間、ずっとこの気持ちを隠したまま友達やってたわけだ。
――忘れもしないあの日、入学式ん時。
後ろから見えていた横田の髪の毛の寝癖の数々。こいつどんだけ寝癖つけたまま入学式に挑んでんだよと心の中で突っ込みながら、校長の長ったらしい話を聞いてなかったあの日。
ぴょーんぴょぴょーんとあちこちに跳ねまくった髪の毛も、見てる内になんか勝手に愛着が湧いてきて。
かったるそうに立っている姿と、時折コクンと頭が下がっている様子から察するにこいつ絶対立ったまま寝てんだろっていう突っ込みどころが満載な、俺の前に立っている奴。
――こいつと友達になりてーな。率直にそう思った。
入学式が終わって速攻で声掛けてそのまま一緒に教室に戻ったら、実は俺の後ろの席だったことが判明して、色々話してる内にどんどん横田に惹かれていった。
その感情が恋愛感情だと気付くのに時間はさほどかからなくて。
そしていつの間にか俺達は普通に仲良くなりすぎて、今では親友というポジションに上り詰めるまでになった。
だからこの関係を崩したくないし、この関係が一番ベストなんだってのも分かってる。
実際問題、男同士でほいほいカップルになれるなんて思ってないし。
つか、横田はノンケだろうし。
でも、…でも!
今日くらいは夢見たっていいじゃない!だって修学旅行だもの…!
という訳で、俺は期待に胸(と股間)を膨らませながら、京都へ向かうバスへと満を持して乗り込むのであった。
(2/51)
menu▼top