第17話
やばい。だからやばいって。
本当やばい。やばすぎる。
「っん、ちょ」
「……何?」
躊躇することなく俺の下半身に伸ばされた横田の手。慌てて制止をかけようとする俺に若干のしたり顔を向けてくる横田。その端正な顔がぐにゃりと崩れて、楽しそうに口角が上がった。
「…や、やば…絶対すぐ出るから」
「高木早漏?」
早漏じゃない。決して俺は早漏なわけではない。横田の中で俺が早漏カテゴリーに分類されてしまうのは不本意だ。でも、
「…っ、ぁ」
「えっ」
ぽろんと下着から出された生身のソレを横田が触った瞬間、突然射精が開始されてしまった。
あぁ情けない俺。早漏にも程がある。つか横田に触れられた瞬間出ちゃうとかもうなんか……なんだ、これみよがし?
いつの間にか、雨が降り出していたらしい。秋の天気は変わりやすいとかいうけれど、どうなんだろうか。まぁそんなことは心底どうでもいいんだけど。
ぽつぽつと降ってきた雨が窓を叩く雨音だけが耳に響く。つまりは沈黙が俺らの空間を包んだ。
ちんこおっぴろげで先っちょから精液垂らしながら冷や汗だらだらな俺と、そんな俺の早漏具合アンド今さっき出したのにも関わらずまだ硬く天を向いたままの俺の絶倫ちんこにおそらく若干引いている横田。
この沈黙を破る役目は俺だろう。どう考えても。
「あー…横田くん?」
おそるおそる名前を呼び、固まったように俺の股間からピントを離さない横田を下から覗き見る。
瞬間、ぴくっと肩が震えたかと思えば、がっしり合わさった視線。
横田の目尻はへにゃりと下がっていた。
「…高木、くさい」
「うおっ!」
第一声がそんな言葉なのも、友達同士のコキ合いなんてこんなもんか、と思って納得することにした。
とにかく急いでティッシュでそこらじゅうを拭きまくる俺を、終始手伝おうともせず楽しそうに眺めている横田の視線が、堪らなく嬉しかった。
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