「あ、おかえり正一」



手にパソコンとサプリメントを抱えながら、スパナが正一の部屋の扉をノックもせずに開けた。




すべての原因は、何やら彼らしい。










2:だってほら















「スパナ…これはどういうことだい?」

入り口の前に立ち尽くしていた正一は白蘭を指さし言った。
白蘭は人を指差しちゃだめなんだよー、と言いながらニコニコしている。
そんな二人を見ながらスパナは無表情にさらっと言った。

「どういうことって、白蘭」

「なんで生きてるのかってことだよ!!」

正一は半ばキレぎみに叫んだ。
確かに、白蘭が綱吉のXバーナーによって消え逝く瞬間をこの目で見た。
しかし、白蘭は今、自分の目の前に健在である。
訳がわからない。

「とりあえず中に入れてくれ」

二人が扉の前に立ち、道を塞いでいたため、スパナはまだ廊下に立っていた。
とりあえず正一はスパナを中に招き、扉をしめる。
そして改めてもう一度訊ねた。

「どうして白蘭サンが生きてるんだ?」

「ウチが生き返らせた」

「は!?」

スパナはソファーに腰掛け、テーブルにパソコンを置いた。
まさかの発言に思考が追い付かない正一は目を白黒させていた。

「生き返らせたって、どうやって!?」

「ミルフィオーレに入隊してすぐくらいに白蘭から聞いていたんだ。霧散した肉体を再構築させる方法」

これ、とスパナはパソコンのデータを正一に見せる。
そういえば前に白蘭サンに、スパナの話をしたことがあった。
最強のモスカを作る研究をしていること、人柄などだ。
その時白蘭は大層興味を持っていたし、あのあと会いに行ったのだろう。
そして気まぐれに、パラレルワールドで得た知識を吹き込んだのだ。

「最初はモスカ用だったんだけど、匣兵器と似た仕組みだったから生身のほうがやりやすかった」

「なんでまた白蘭サンを…?」

「もともと白蘭のためじゃなかった。ボンゴレの身に何かあった時のために準備しておいたんだ」

しかし最終的に綱吉が勝ち、死んだのは白蘭だった。
だから誰にも言わずに今まで黙っていた。

「わかっているのか、スパナ」

ごくり、と生唾を飲んだ。
本人を目の前にして、こんなこと言うべきじゃない。
でも、それくらい彼は酷いことをしたんだ。

「白蘭サンは、…生き返らせちゃいけない人だ」

「正一」

じっとスパナは正一を見た。そのまっすぐな目に、偽りだらけの自分は居心地が悪い。

「この白蘭には記憶がないんだ」

「…え?」

「断片的に、ミルフィオーレのボスだったことや、自分のやったことに関する記憶がない」

テストした、とスパナはつけたし、ポケットから新しい飴をとりだした。

「はじめての試みだったから不完全で、記憶の他にも色々欠陥がある」

「…だとしても…復活させていい理由なんてないんだ!」

「理由なら、だってほら」

当たり前、といった顔でスパナは言った。
正一は、その言葉に動きをとめる。










「白蘭は、正一の友達だろ?」










二人の話を遠巻きに聞きながら、白蘭は机の上にふせられた一つの写真たてをおこした。
そこには学生時代の白蘭と正一が写っていた。
なんの偽りもない、純粋な笑顔。








許されることじゃない。
でも、せっかく生き返った命を、また奪うことなんて出来るわけなかった。

とにかく、綱吉に報告しないといけない。

すんなり受け入れられるとも思っていない。





でも、だってほら。






「友達、だし」










第二話 おしまい


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