大人組






カラン…




「あぁ、すまん。もう閉店時間過ぎてるんだが…」

「こんばんは…」

「ハイデッガー!なんだ、お前か。珍しいな夜にくるなんて」

「はい、仕事が長引きまして…」

「そうか。まぁ座れ、茶くらいだすぞ」

「あ、すみません。どうも…」



カランカランカランッ!!



「お晩でーすッ!!」ガツーンッ

「っ!?」

「ハイデッガー!?」

「おや?…うわぁ、すみません!」

「いえ…、大丈夫です…」

「ヤブ医者…てめぇちゃんと周り見て入ってこいよ…」

「見えなかったんスよ!扉で!」

「あの、本当に大丈夫なので…」

「うぅ、すみません」

「いえいえ…」

「それでヤブ。てめぇはなんでここにいやがるんだ?」

「近くを通りかかったんで、暖をとりに!」

「帰れ」

「ひどいっ!!冷たいッスねー…ぶえっくしゅ!!」

「あー、もう…とにかく入れ。扉を閉めろ」

「あ、そう言えば開けっ放しだったッスね」

「…お邪魔します」

「とりあえず暖まるもの…あ、そうだ」

「「?」」

「これ飲まねぇか?」

「おぉ!お酒!」

「…珍しいですね」

「年明け、酒屋にもらったんだが…うちにはガキしかいねぇからな。一人酒もなんだし、飲んでってくれ」

「わーい!いただきまーす」

「…お酒なんて久々です」

「家で飲まねぇのか?」

「はい…家で一人で飲むこともありませんし…実家ではたまに飲むんですが…酔っぱらった兄の世話が大変で…」

「兄…あぁ、あの…」

「はい…兄は弱いのに酒が大好きなので…」

「あなたは強いんスか?」

「あ、はい…わりと…」

「お前はどうなんだよ」

「ボクッスか?ボクはうーん…普通ッスかねぇ…」

「なんだその曖昧な返事は」

「ボクのお家には酒豪がいるんで。飲む前にぜーんぶとられちゃうんスよ」

「酒豪?……お前の家だから…雅と風嗣…が、か?」

「いいえー、もう一人いるんスよー。おっかなーい人がー」

「?」

「まぁそれはおいおい話すんでー。ナイトレイさんは強いんスか?」

「ぼちぼちだな」

「強そう…ですよね」

「で、二日酔い酷そうッスね!」

「うるせぇ」

「…そう言えば…この前、二日酔いでしたよね」

「あぁ…まぁな…。寝れなくて飲み始めたんだが…いつのまにか飲みすぎちまって」

「ジン君怒ったでしょー」

「そりゃもう鬼のように」

「あはは、…らしいですね」

「そうなんだよな…あいつも大きくなって…昔はあんなに怒りっぽくなかったのに」

「そうッスねぇ。昔はすごく大人しい子でしたよね」

「ひよこみたいに後ついてきてたしな」

「可愛いらしいですね」

「そうなんスよー!ナイトレイさんもすっかり親の顔だったッスよねぇ」

「……まぁ…否定はしねぇよ」

「お?意外ッスねぇ」

「なんだろうな…俺が育てるんだと思うと…血のつながりはなくてもそう思うもんなんだよ」

「…そうなんですか?」

「あぁそれわかるッス!」

「だろ?」

「それなら…成長が嬉しいですね」

「そうなんだけどなぁ…」

「?」

「なんか、寂しいもんだよな」

「あー、そうッスねぇ。ジン君、八咫君っていうお友だちもできて…最近は親離れしてきてますもんね」

「…マスター、すっかりお父さんですね」

「改めて言われるとなんか恥ずかしいな、それ」

「でも最近は息子というよりは一人の人間として見てるんじゃないッスか?」

「………」

「好きなんでしょう?」

「…………さぁ、どうだろうな」

「あー!誤魔化した!」

「うるせえ!!言わせんな!!」

「…まぁまぁ…」

「ちっ」

「ナイトレイさん顔真っ赤ッスよー」

「酒のせいだ!……そういうお前はどうなんだよ」

「はい?」

「お前だって似たようなもんだろ」

「…………あ、話は変わるんスけどね」

「誤魔化すな」

「誤魔化してないッスよ。大事なこと思い出しただけッス」

「なんだよ」

「こちらのお名前は?」

「は?お前……今さら何言ってんだ?」

「あの……実は俺も…ずっと気になってはいたんですけど…」

「え?」

「ちらーっと見たことはあるんスけどね。こうやって話すのは始めてッスよね」

「はい…」

「お前らそれなのにこんなにフレンドリーに話してたのか!?」

「そうッスねー!」

「あきれた…」

「ま、ナイトレイさんのパワーですかね」

「…そうですね」

「訳わかんねぇし…まぁ、いい!とにかく飲め!」

「はーい!」

「いただきます」








「騒がしいから何をしているかと思ったら…」

「まぁいいんじゃね?大人もたまには、さ」







おしまい。


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あとがき
酒を飲み交わしながらしっとりお話をする大人組、というリクエストをいただいたので頑張ってみたのですが…大人な会話ってなんだろうか。笑
とりあえずお酒を飲んで、皆さんいつもよりテンション高めに、それでいて落ち着いた会話っていうのを意識して書きました。
よく考えたらシエルドとヤシロって面識ないんですよね。ヤシロがちょっとシエルドの姿見かけた程度で。
シエルド、ヤシロ、アルバートは今のところあんまり絡む予定がないです。笑
絡ませたいんですけどね!
投票ありがとうございました。





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