天使組





「さて、今日の晩ごはんなんだけどさ」

「おい!!いきなり脈略ねぇな!」

「いいじゃないか別に。あ、それで今日の晩ごはんなんだけど。なに食べたい?」

「……マスターは?」

「マスターはお仕事だよ」

「なんだよ、一人でいったのかよ」

「うん、今日は安全な仕事だったみたいだし。あ、ところでさ、今日マスターいなくて寂しいからミ…」




ガチャ




「…こんにちはー…」




「!」

「あ」

「──っ!てめぇミカエル!なんでここにいやがる!」

「え、ちょ…ガブリエルこそなんでここに…って、え!?ラファエルにウリエルも…!?」

「おかえりー、ミカエル」

「…おかえりなさい」

「ウリエル!!ほのかに嬉しそうな顔すんな!!ラファエル!説明しろ!」

「だから今言おうとしたじゃない。“ミカエル呼んだんだー”って」

「言うのが遅い!」

「えー」

「一体なんなんですか!?僕ヤシロさんに呼ばれて来たんですけど!ラファエル説明してください!」

「俺が内緒でミカエル呼んでって頼んだんだ」

「そういうの本っ当、やめてください!」

「えー」

「……ミカエル…」

「!……ウリエル…どうしました?」

「一緒に御飯食べるの…嫌?」

「え、いや、その…嫌じゃ…ないです、もちろん!」

「はっ、姿や口調は変わってもウリエルにべったりなのは変わんねぇのかよ。シスコン」

「はぁ?僕より弱いくせにそういうこと言わないでくれます?」

「んだと!?」

「なんですか!!」



バシャッ



「はい、喧嘩しない」

「ラファエルてめぇ!!」

「久々に…ラファエルの水浴びた…」

「今一番大切なのは、夕飯の献立だよ。真剣に考えて」

「…それ、一番大切か?」

「違うと思うんですけど」

「いいから。はい、ガブリエルなに食べたい?」

「俺?……あー…ラーメン」

「じゃあミカエルは?」

「パスタ」

「てめぇミカエル、喧嘩売ってんのか」

「しょうがないじゃないですか、食べたいんですから」

「なんだと!?」

「はぁ!?」



バシャッ



「喧嘩両成敗ね」

「「…………」」

「ウルは何を食べたいのかな」

「……そば」

「見事に和洋中の麺類勢揃いじゃねぇか」

「ちなみにラファエルは?」

「冷麺食べたいなぁ」

「あ、すみません。聞いて」

「うーん困ったねぇ…皆バラバラじゃ出前もめんどくさいし」

「ガブリエルが作ればいいじゃないですか」

「あ?」

「あ、そうだね。出前よりずっと美味しいし」

「てめぇら適当に言ってんじゃねぇよ!」

「あれ?作るのいや?」

「今からパスタやらそばやら打つのにどんだけ時間かかると思ってんだ!」

「打つとこからなの?」

「今ここにねぇからな」

「…わ、私も…手伝う…」

「う、ウリエル…!」

「いや、でもほら…ウリエルは料理…苦手だったよね」

「そうだウリエル!気持ちは有り難く受け取っておくからな、無理はすんな頼むから!」

「でも……ガブリエルだけに負担をかける訳には…」

「大丈夫だから!!」

「任せとけって!!」

「でも……」

「──…あー、そうだ!あの、店に来ませんか!?マスターも料理上手いですし!ね、確か中華麺もパスタもそばもありましたし!」

「あぁそうだね、お邪魔しようかな!それならいいよね、ウリエル!」

「…うん」

「却下ぁ!!」

「ちょ、ガブリエル空気読んでくださいよ!!」

「そうだよ、今僕らの胃の安全が守られたというのに!」

「……胃?」

「あ、なんでもないよ。ウル」

「あの男に頼るのだけは絶対に嫌だ」

「なにワガママ言ってるんですか」

「てめぇのせいだろうが!!」

「は!?」

「………ちっ、……じゃあお前がその気持ちわりぃ格好やめてあそこに行くんだったら行ってやるよ」

「気持ち悪いって…なんですかその言い方!」

「気持ち悪いもんは気持ち悪いんだよ!!」

「もういいですよ!ガブリエルにマスターの料理食べさせるのはもったいないですしー」

「誰が好き好んで食うか、あんなクソ男の料理!!」

「マスター馬鹿にしないでくださいよ!!」

「なぁにが馬鹿にしないで、だよ!!あんなクソ野郎!!」

「だぁ、もう、許さない!!歯ぁくいしばれ!!」

「はっ!!かかってこいや!!」




バッシャーンッ!!




「黙れ」

「「……………はい」」







「ただいま」

「マスター…おかえりなさい」

「ただいま、ウリエル。……なんで家の中が水浸しなのかな?」

「…兄弟…喧嘩?」

「……うん……そっか」






結局夕飯はアベルの「今日は寒いから鍋食べたいねぇ」という一言により、鍋(ガブリエル作)を食べることになりましたとさ。


おしまい。


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あとがき

天使組は4人揃うと基本ガブリエルとミカエルの喧嘩で話が進みます。笑
で、ウリエルはそれを見てオロオロして、ラファエルが喧嘩を止めます。
しかしどんなに喧嘩しててもアベルの一言でころっと全員の意見が一致します。
本編ではあんまり書けませんでしたが皆アベルが大好きなんです。
あと、ウリエルは料理ド下手。始めて料理を食べたとき3人とも寝込みました。笑
この、ぐだくだ感が書いていてとても楽しかったです。
投票ありがとうございました。


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