ナイトレイ&ジン




あなたに出会えてよかった。

言葉にするのは少し恥ずかしいけれど、心の中ではいつもそう思ってる。












「おはようございます」


何度コールしてもなかなか起きないナイトレイに馬乗りになって言う。
ナイトレイはまだ寝ぼけ眼な顔でジンを見上げた。

「………今何時だ」

「8時ですけど」

「8時…!?おい、なんで起こさなかった!?」

「はぁ!?起こしましたよ!6時から何回呼びにきたと思ってるんですか!?」

そのままの体勢で言い争いを始める。
いつもは控えめなジンも、このナイトレイの態度に対しては絶対に引かない。
だって悪いのは明らかに彼だ。
20回目であるこのモーニングコールで起きなかったらひっぱたいてやろうとさえ思っていたくらいだ。

「だいたいマスターは店に関して少し無関心すぎるんですよ!朝は起きないし、料理以外は全部僕に任せるし。自分で始めたお店なんですから少しは自覚を持ってですね…」

「あー、うるさいうるさい!どけ、邪魔だ!」

ナイトレイはジンの小言を無理矢理遮り、ジンを抱き抱えるようにして上からどかせる。
そしてピタリと動きをとめた。

「……」

「……?マスター?」

「さむい」

「は?」

ナイトレイはそういうと、勢いよくもう一度布団にくるまった。

ジンを巻き込んで。

「ちょ、マスター!?」

「うるさい」

「ちょっと…」

「あと5分…黙ってろ」

ナイトレイに抱き締められ、ジンは身動きがとれなかった。
顔が火を噴きそうだった。
心臓の音が伝わってなければいい。
しかし、伝わってくる温もりや、鼻を掠める香りが、なんだかくすぐったい。

ジンは、まったく、と小さくもらしながら、静かに目を閉じた。












抱き抱えた体は、自分より軽くて、暖かい。
それがなんだか、くすぐったくて、思わず抱き締めた。
あぁ、顔が火を噴きそうだ。
もっときつく抱き締めたいが、心臓の音が伝わってしまうのは恥ずかしい。



こういうとき、一番強く感じる。
こういうときじゃなくても、いつも思っている。






お前に出会えてよかった。







おわり。



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あとがき。

2位に圧倒的大差をつけ、1位に輝きました“ナイトレイ&ジン”です。
本編でいちゃついていない、絡みが少ないという意見もいただきました。まったくです。笑
それなのに、こんなにもたくさんの票をいただけたということは、彼らの仲を応援してくださる方がたくさんいるのだということなのでしょう。

投票ありがとうございました。


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