聖闘士星矢 | ナノ

Origin.


黄金勢と年越し!


「「「かんぱーい!!」」」


そんな声と共に、いくつものガラスが合わさる音が執務室に響いた。
いつもならひたすらに内務をして過ごすこの部屋も、今日は違う。
夜明けまで楽しめる場所と化す。

――そう、今日は大晦日。
1年の終わりを過ごすべく、ここには黄金聖闘士らが集っていた。
無論、沙織も美しい着物姿を装い、この場にいる。


「今日だけは特別です。執務を忘れて楽しみましょう。そして、来年も平和であるようにと。」
「うむ、アテナの言うとおりだ。今日は多少のはしゃぎも許そうぞ。」


そんなお声をいただいてか、彼らは普段以上に活動的だった。


「さて、飲んでいるかいナマエ。」
「! アフロディーテ! えぇ、まぁね。
けどちょっとアルコール高いのばかりそろっている気がするのだけれど……。」
「その方が楽しめていいじゃねぇか。」


ぐい、とナマエの肩に手を回すのは言わずも知れたデスマスク。
にやりと口角をあげて微笑むデスマスクにナマエは苦笑し、離れるように言う――前に彼に鉄拳が下った。


「って〜〜!」
「デスマスク、早くナマエから離れろ。」
「ッシュラ、お前いくらなんでもそれはねぇだろ!」
「デスマスクが邪魔ってことだろ? っとナマエ! チョコ食べるか?」
「あら、ありがとうミロ。ちょうど甘いもの食べたかったの。」
「へへっ。」


シュラの鉄拳が下りデスマスクがナマエから離れると、その間にひょっこりミロが現れる。
そしてにっこり笑みを見せながらナマエにチョコレートを手渡す。
手でつまんだキューブ上のチョコを味わっていると、目の前にティーカップが置かれた。


「今から酒ばかりでは、年越しの前に潰れてしまうからな。紅茶でもどうだ。」
「カミュ……ありがとう、凄く嬉しい。」


カミュを見上げて微笑めば、カミュはどうということはない、と返して踵を返した。
何処へ行くのかをその背中を見ていれば、ふと視界が塞がる。


「あ……。」
「む? す、すまん! もしや視界の妨げにでもなったか?」
「いやいや、大丈夫! むしろごめんなさいね、アルデバラン。」
「いや、それならば良かったが……。そうだ、食事は美味しくいただいているぞ。」
「ほんと? それは嬉しい報告ね、ありがとう。」
「うむ、私にもしっくりくる味であった。」


アルデバランの隣にシャカとムウがいつの間にか立ち、夕食の味を語る。
その夕食はデスマスク――ではなくこのナマエが作ったものであった。
それゆえか、シャカも珍しく絶賛。


「そうですね、味付けは実に好ましかったですよ。いつでもお嫁さんに欲しいくらいです。」
「あはは。んもう、ムウってばお世辞が年々上手くなってるわよ?」
「おや、お世辞のつもりは毛頭ないのですが……。」
「ムウ、貴様には付け入る隙はどこにもないということだ。」
「それは貴方ですよシャカ。」


ばちばち2人の間に火花が散っていることに気付かず、ナマエは微笑みながら首を傾げている。


「?」
「ナマエ!」
「ん? って……え、なにこれ!?」
「イノシシだ。」
「はい?」
「だから、イノシシだ! 先ほど兄さんと狩ってきた。」


どん、とテーブルに置かれたのはイノシシの丸焼き。
ナマエは唖然としてそれを持ってきたアイオリアを見上げる。
彼は軽く汗を拭きながら爽やかな笑みを携えていた。
そんな彼の後ろから、兄であるアイオロスもやってくる。


「いやぁ、アイオリアと特訓をしていたらイノシシを見つけてね。
せっかくだからと連れてきたんだ。大丈夫、しっかり焼けているよ。」
「いや、そういうことじゃねぇだろこれ……。」
「第一、イノシシなんてどこにいたんだい?」
「……可哀想になぁ、お前も。」
「えーっと、……あ、ありがとう?」


黄金勢がイノシシをつつく中、ナマエは苦笑しつつも礼を告げた。
と、先ほどまでいなかったカノンが頭をかきながら執務室に入ってくる。


「カノン、今までどこにいた?」
「どこもなんも、自分の宮にだよ。
ったく、サガのやつ。今年中に片づけたい仕事があるからって自室に引き籠りやがって。」
「サガ、まだ仕事を……?」
「あぁ。ほんと、仕事の虫だな、ありゃ。」


カノンはどかり、と近くのソファに座ると、お酒を瓶ごと飲む。


「あらま、あんまり飲みすぎたらだめよ、カノン。」
「大丈夫だ。ほら、ナマエもどうだ?」
「私はカミュから貰った紅茶がまだあるから。後で、ね?」


そして時は次第に過ぎ、もう少しで年が明けようとしていた。


「(もうすぐ明けるけど……どうしよっかな。)」



→ アテナ様…はもうご就寝なされるのよね
→ ムウと過ごそうかしら
→ シオン……は、何か1人でテンションあがってるからちょっといいや
→ アルデバランと話しましょう
→ サガに会いに行こうかしら
→ カノンと酒をかわすのもいいわね
→ デスマスクと料理について語りつくそうかしら
→ アイオリアにイノシシの肉を分けてもらいましょう
→ シャカに料理をあげなくちゃ
→ 童虎……は五老峰だからいないのよね
→ ミロからチョコを再度貰うことにしましょう
→ アイオロスにちょっとお話があるのよ
→ シュラにお礼を言わなくちゃ
→ カミュに紅茶おかわり強請ろうかしら
→ アフロディーテをほめてあげましょ
→ いいや、私も休みましょっと

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