聖闘士星矢 | ナノ

Origin.



「ミロ!」
「ん?」


楽しげにカミュと会話していたミロは、声の聞こえた方向へと顔を向けた。
そこには天蠍宮の女官であり、ミロの恋人であるナマエが。
美しい容姿と相反する、可愛らしい笑みが愛おしいのだが、今の表情は些か硬い。


「よ、ナマエ!」
「よ、じゃないわよ!」
「……何怒ってんだ?」


ずかずかと足音をたてて寄ってくる彼女に首を傾げれば、隣のカミュからは小さな溜め息が返された。


「貴方ねぇ! あれだけ部屋を片づけなさいと言ったのに、どうして悪化してんのよ!」
「…………あぁ、」


ナマエの怒りの原因が分かり、ミロはぽん、と手を叩いた。
それを見たナマエの眉はぴくと動いたかと思うと、無言で素早く鉄拳を振りかざす。


「った〜〜! 何すんだよ!」
「これぐらいかわしなさいよ! っじゃなくて、部屋!」


叩かれた部位を抑えながらミロは面倒だ、と呟けば、また新たに拳が飛んでくる。
決して稀なわけでないこの光景に、カミュは再度息を吐いた。


「ミロ、一体今月に入ってから何度目だ。」
「人聞きの悪いこと言うなよ、カミュ。俺だって綺麗にしてるんだぞ?」
「あれのどこが綺麗だなんて言えるのよ!」
「けど寝れるだろ?」
「……。」


もはや親友からは溜め息しか返されなくなった。
対するナマエは拳を震わせながら、怒りを押し殺すように声を発する。


「そう。ミロ。貴方はこれだけ言っても片付けないと言うのね。」
「……ナマエ?」


普段と違う様子に、ミロは恐る恐る声をかけた。
ナマエは眉を動かしながら、口元をあげて笑ってみせると。


「でしたら、私も然るべき対応をさせていただきます!」


そう声を張れば、真剣な表情に戻りカミュへと視線を移した。


「カミュ、私を宝瓶宮で働かせてちょうだい」
「なッ……何言ってんだよ!?」
「もう私、天蠍宮は嫌よ。」


ふん、と別方向を向くナマエに、ミロはいよいよ慌てた。


「嫌って! そんなこと許されるわけないだろう!」
「事情を話せばアテナ様なら分かってくださります。」
「だ、だいたいカミュの所には別の女官が!」
「ふむ。みな風邪をこじらせていたから、しばらく休暇を与えたな。」
「カミュ!
っ、それに宝瓶宮は寒いんだぞ?! 冷えるぞ!現に女官どもは風邪をひいてるんだぞ!」
「私、寒いの平気だから。汚い部屋なんかより全然マシ。」
「っ〜〜!」


ミロは言葉を探すも思いつかなかった。
ナマエは勝った、と言わんばかりに目を輝かせ微笑む。


「じゃあカミュ、他の人たちが復帰するまで宜しくね。」
「あぁ、ナマエの淹れる紅茶は絶品だからな。大歓迎だ。」
「ばか、歓迎すんな! ナマエ、考え直せ! 考え直すんだ!」


ミロがそう言うも、ナマエはもう決めたから、と言って言葉を聞き入れなかった。
カミュはカミュでこの光景もまた面白いとナマエに荷担した。


「ナマエ〜っ!」
「そんな声出してもダメ。」
「カミュも何か言えよ!」
「ミロはもう少し掃除をするべきだ。」
「ちっがう! なにナマエの味方してんだよ!」


ミロはその後もナマエに対して説得をするも、納得させることもできず。
結局ナマエはカミュと宝瓶宮へ行ってしまった。

の、だが。


「で? ……なんで、ここにいるのよ!」
「ナマエがどうしても此処で過ごすっていうなら、俺も此処にいるぞ!」
「要らんわ!」
「宮をあけるな、宮を……。」


結局、しばらくの間3人で食卓を囲むこととなったとか。



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ミロ可愛いんだよなぁ、
本当は天蠍宮に無理やり連れて帰って押し倒す予定だったんだが(笑)

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