聖闘士星矢 | ナノ

Origin.



「ふぁ……。」


昼食を先ほど終え、暖かな日差しが宮内に入り込むこの時間帯。
どうしても眠気というものはやってくるわけで。


「おや、欠伸ですか?」
「! ムウ……。」


ことりと目の前に置かれたティーカップ。
それを置いた張本人であるムウはくすりと笑みを浮かべてナマエの隣に座った。
ムウが座ったことで、ソファが形を変える。


「この時間帯は眠いですよね。」
「あ、ムウもやっぱりそう思う?」
「えぇ、執務や聖衣修復がある時は眠気を堪えるのが大変ですよ。」
「ふふっ、だよね〜。」


紅茶を口にしてナマエはソファの背もたれに寄りかかって瞼を閉じた。


「んー……。」
「少し寝てはどうです?」
「んー……貴鬼はどうしたの?」


そういえば、と微睡みの中ムウに尋ねれば、少し遅れて別の声が応えた。


「ここだよ!」
「あっ、吃驚したー。」
「へへっ、お姉ちゃんはこれから昼寝?」
「昼寝したいなーって思っていたところー。」
「そっか! じゃ、一緒にする!」


貴鬼は満面の笑みを携えてナマエとムウの間に座った。
ナマエは瞼を閉じたまま受け入れ、ムウはそんな様子に温かく微笑む。


「では、皆でお昼寝としましょうか。」
「はーい!」
「んー!」


 * * * * *


「……ん……、」


ふと、腕が引っ張られる感覚が夢からナマエを目覚めさせる。


「………ふふ。」


この感覚は何なのだろうかと薄く瞼を開けて視線を動かすと、その表情は緩まる。
自分とムウの腕を抱いてすやすやと寝る貴鬼の姿は、ただの小さな少年。


「可愛いですね。」
「ムウ、起きていたのね。」
「えぇ、貴女が目を覚ます少し前に。」
「そっか。」


貴鬼の頭を撫でるナマエ。
少しくすぐったそうにしながらも口元に弧を描いたまま夢の中にいる貴鬼は、更に掴んでいる両者の腕を自分の方へと引き寄せた。


「っとと……!」
「貴鬼にも寂しい思いをさせていましたね。」
「にもってことは、私に対してもそう思ってる?」
「えぇ。」


最近のムウは聖衣修復で忙しかった。
1つならまだしも纏めてきたため、休むこともなく日夜それに務めていたのだ。
ただでさえ交流時間がないなかで、近頃はそれがぱったり切れてしまっていた。
貴鬼も承知のこととはいえ、やはり寂しさは拭えないだろう。


「確かに寂しかったことは本当だけど……。
けどムウは私たちとの時間を作ってくれようとしてくれるし、何もそんなに気負う必要はないんじゃない?」
「ナマエ……。」
「貴鬼だってわかってるわよ。」
「……えぇ。そうですね。」


2人で貴鬼を一瞥すれば、再度目を合わせた。


「………。」
「………。」


言葉に出さぬとも、空気が変わったのが分かる。


「…えと……。」
「……寝てますから。」
「…うん……。」


短い言葉を交わしてナマエが頷けばムウは優雅に微笑む。
そして、貴鬼を起こさぬよう慎重に身をナマエの方へと近づけた。
ナマエの瞼が閉じられる。


「………ん…。」
「…愛していますよ、ナマエ。」
「私も。愛してる、ムウ。」


そしてもう一度重ね合う唇。
と、ムウがはっと身を引いた。それに首をかしげるナマエ。


「ムウ? どうし――……………え。」
「…………。」
「…………。」
「…………。」
「…………。」


ぼっ、とナマエの顔が真っ赤に染まる。


「ちょ、な、え!?」


そして動揺するナマエ。


「これは、ずいぶんなところを見られてしまいましたね。」
「っムウ!!」


いつも通りの穏やかな笑みを浮かべるムウ。
顔を羞恥に染め、動揺するナマエ。
同じく顔を真っ赤に染めつつも、寝たふりをし続ける貴鬼。

そんな姿が、昼下がりの白羊宮で見られた。



.
ふと書きたくなった。
眠い…

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