聖闘士星矢 | ナノ

Origin.



「………。」
「………。」
「………。」
「………。」


ここは処女宮。
黄金聖闘士 乙女座のフドウが守護する宮である。

今日も彼は瞑想中。
だが、そんな彼を正面に座り込んで凝視する女性が1人。その名をナマエという。
本人は処女宮の女官だと言っているが、仕事らしい仕事をして見せたことは一度もない。


「………。」
「………。」
「………。」
「………。」
「………なんですか。」
「………?」


長い沈黙の中、やれやれとフドウが口を開く。
口を開いたフドウに、ナマエは首を傾げた。


「私に何の御用かと聞いているのです。
毎日毎日、何をするわけでもなく私の前に座して。貴女も仏に興味が終わりで?」
「ない。」
「……ならば何の御用です。」


はぁ、と小さく溜め息を吐いて、フドウは再度問う。
すると、ナマエは一点を見つめたまま返す。


「いや、目が離せない。」
「……はい?」
「アンタのその唇、やらしい。」
「なにを、……っちょ!」


ナマエはそれだけ言うと、フドウの膝の上に乗り、その唇に手を這わせた。
その表情は恍惚としている。


「貴女は何をしたいんですか。」
「あ、やっぱり凄い、柔らかい。」
「ですから……。」
「アンタ見た時から、その唇に全部奪われた。」
「はい?」


そうしてナマエはさらに身を乗り出し、フドウの唇に自らのを重ねる。
さすがに驚いたのか、フドウは目を見張った。
口付けたままナマエは見上げ、フドウの瞳を見つめる。


「その眼も惹かれるけど、やっぱり唇が一番だね。凄いよフドウ。
アンタの唇、柔らかいだろうなって思っていたけど、本当に柔らかい。気持ちいいわ。」
「っ……。」


瞳を合わされ、どうしたものかとフドウは言葉に詰まった。
ナマエはそんなフドウの表情を見て更に微笑む。
そして、彼の下唇を自らの唇で挟んだ。


「…んっ……。」
「やだ、やらしい。」
「貴女のせいでしょう。」
「あら、不動明王様の化身は人のせいにするのがお得意?」
「ナマエ……。」
「あー、もう最高。」


フドウの首に手を回すナマエ。
フドウは呆れながらも、そんな彼女の背中と後頭部にさりげなく手を回した。

こんな日も、悪くない。


「っちょ、待ちなさい!」
「えー、もうそんだけ露出させてるんだからいいじゃない。」
「こら、ナマエッ……!!」


たぶん。



「何やってんだ? あいつら。」
「さぁ、とりあえずフドウが押し倒されているね。」
「助けにいかねぇのか?」
「君がいけばいいだろう? ハービンジャー?」
「冗談。そんなことしたらあの女に殺されそうだぜ。」
「ははっ、それこそ冗談を。」
「じゃ、お前が行ってみな貴鬼。」
「私も遠慮しよう。」
「だろ?」
「……あぁ。」



.
フドウが出てからというもの、彼の唇から目が離せない。本当に。
あの唇は反則だ。いやらしいったらありゃしない。

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