5周年記念 | ナノ

金色の光が今の関係を紡ぐ


ふっと意識が遠のく。
黄色い蝶々さんが光を零しながら天へと昇っていく。

あれ? あれれれ?
もしかしておれ、このまま上へと昇って行っちゃうのか?
そりゃ宇宙に行ければサイッコウだけど『今』はまだダメなんだ。
行くなら一緒に行きたいヤツがいるから。

だからちょっとだけ待っててくれ!
すぐ行くって! その後をすぐに追って、おれの名曲を天へと轟かせてやるからなっ☆
わはははは!

わはははは……☆


「笑ってないで、起きてッ!!」
「いでッ!? 〜〜ッ痛ぅ……!」


あああ、今いいメロディーが頭の中をよぎったのに!
それを引き留めようと手を伸ばした瞬間に衝撃が全てを拡散させた……!!


「ひ、酷いぞなまえ! お、おれの名曲が! 銀河系へ響く協奏曲が!」
「だからって、もう私、膝痛い。」
「うう〜〜。」


なまえの膝上は猫よりも柔らかくて暖かくて、おれ好きなんだよなあ。
前に同じこと伝えたら、顔真っ赤にして怒っちゃったけど……なんでだ?
未だによくわからん! 意味不明だ!
わははは☆ だから大好きなんだなまえは!


「変な顔してないでよ、レオ。ほら、どいて。」
「うぅーん……。」
「うわぁ、膝しびれる……。」
「やっぱ昼寝はいいな! 頭が冴えてきたぞ!」
「そりゃあ良かったわ。」


なまえは時折顔をしかめつつも、息を整えてそれを落ち着かせていた。
う〜ん、痺れるのって結構キツイよな。ちょっとワルイコトした気分になる。


「なまえ、なまえ。」
「なに?」
「今度、宇宙行こうな!」


俺の見た夢が分かったのか、なまえは静かにほほ笑んでくれた。
ああ、まるで母性に溢れる女神のような微笑みだ! きっと彼女があの蝶々さんを生み出したに違いない!
つまり! やはりおれは彼女と一緒に天へと昇りつめないといけないんだっ☆


「いい夢見たの?」
「おう! なまえが蝶々さん引き連れておれと一緒に舞う夢だ!」
「……あそう。」
「ん! なまえ、今すぐペンを――!」


伸ばした手に握られたのを見つめた。


「……。」
「……あれ、これじゃなかった?」
「……んや。さすがおれの『嫁さん』だな!」
「っ。」


あ、顔がみるみる真っ赤に染まっていっている。
ははーん、照れてるんだなぁ。ほんっとー可愛いよな、なまえは!

おれが最近仲良くしているペンを選ぶとは、なんて息ぴったりなんだおれたち!
最高のパートナーというやつだな☆


「ふふ〜ん♪ なまえがいると、やっぱり捗るな〜♪」
「変わらないっていいね。」
「そうか? おれたち変わってるだろ。」


きょとん、ってまさにその表現が正しい反応だな!
なまえは意外と顔に出るところがあるから、面白くて大好きだっ☆


「なまえなまえ、」
「ん?」
「『好き』だ。」
「…………ん。私も。」
「ふふん♪ 知ってるぞ〜!」
「……。」


時折顔を俯けて恥ずかしさを誤魔化そうとする仕草をも、心を躍らせる。
ついつい手が伸びた。


「……子ども扱いしてる?」
「おれたち、まだ子どもだろ。」
「そういうとこだけ、達観しているんだから。」
「細かいことはいーの。」


思わず俯いたその頭を撫でれば、ふんわりとした感触に手が包まれた。
ん〜こう、柔らかくて良い香りが運ばれるような節を生み出したいな。
そこから、だんだんテンポをあげて運河を渡って銀河へ旅立つような流れで。


「そういえばなんで黄色だったんだ……?」
「何の話?」
「おれを導いてくれた蝶々さんが、黄色に輝いていたんだ。きっとなまえの蝶々さんだからと推察はしてみたんだけどなぁ……。」
「なぜ私の蝶々? 残念ながら、私蝶々はあまり好きじゃないんだけど……。」
「……えええっ!? なんでだ!?」


あああっ、待って答えはまだ言っちゃだめだ!!
こおれがあの時の記憶を思い出しながら、憶測し、妄想し、宇宙へ伝搬させるべきなんだ!


「レオ、着信。」
「んぁ?」
「泉くんから。」
「セナから? 今まさに作曲への霊感が湧いたところで連絡してくるなんて、さすがだなっ☆!」


うっちゅ〜☆
今から来いよ、セナ! なまえも一緒だぞ☆
せっかくだから歌詞を久々に書いてくれ!
今回は神秘さを前面に押し出してみるからなっ!


.
とっと様リクエスト、月永連載「アイドル科の王さまと普通科の娘」でくっついた後のレオ視点での甘めのお話デシタ!
最後が完全にベクトル、瀬名泉に向いているけどな!
恋人になった後なので、ちょっとネタバレで夢主は「泉くん」呼びな。

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