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 恋バナ

【※暴走(妄想)小町&黒ユナに注意】


「はい…?」


鳥の囁きあう声、木々が揺れる音、そして通り抜ける涼やかな風。
緑いっぱいの自然あふれるこの場所で、ナマエは場に遭わない素声を出した。


「あの、…ん?」


困惑した表情を見せる彼女の周囲には、ユナに小町、そしてアルネがいた。
後者2人は、女聖闘士の掟に従って仮面をつけているため分からないが、どこか嬉しそうにきゃっきゃとしている。
対するユナは、2人とは違ってどこか焦ったような表情を見せた。


「だから、付き合ってるって本当なの!?」
「……誰と?」
「誰って…、」
「ねぇ?」


ナマエの質問に、小町とアルネは顔を見合わせくすりと笑う。
そして、2人してナマエの手を握れば、声を合わせて――


「「エデンよ!!」」
「……いや、ないから。」


こうなったのも、今日の授業が終わってすぐのことだった。

いつも朝と夕方以降を修行時間としているナマエは、今日も授業が終わり次第、すぐに自らを鍛える予定だったのだ。
それを、終わるや否や、今目の前にいる少女3人に無理やり連れ去られ、現段階に至る。
なに? と当然の質問をすれば、ユナがいち早く眉を下げて問いただしてきたのだ。


「貴女、付き合ってるって本当なの!?」


と。これにはナマエも参り、小首を傾げた。
すると、後ろに控えていた小町とアルネが声高く「いつから付き合い始めたの!?」と付き合っている前提で話を進めてきたのだ。
そして今、ナマエが冷静に逆に問うてみて、判明したこと。

“ナマエとエデンが交際をしている。”

そう彼女らは認識していたのだ。これにはナマエもいやいやと苦笑を浮かべた。


「だって、今パライストラですっごい噂になってるのよ!?」
「そうそう、あのエデンが付き合ってるって! しかも相手はナマエ、貴女よ!」
「いやいやいや、違うよ。どうしてそうなったのよむしろ。」


小町とアルネの興奮気味の声に、ナマエは少し身を引きながらそれを否定した。
すると、小町が頬に手を当て、体をくねらせる。


「もう、私たち友達なんだから隠さなくたっていいのよ!」
「え、いや隠すも何も付き合ってません。」
「あ、もしかして、エデンの方から『このことは、俺たちだけの秘密だぜ☆』的なこと言われたのー!?」


きゃー、あのエデンなら秘密にしてそーっ!


「……あの、…小町さーん?」


小町はくるりとその場で一回転をする。
まるでアルコールを含んだのではないかと疑いたくなるほどにテンションが高い。
ナマエは1つ息を吐く。と、そんな彼女の両肩をユナががしっと掴み、顔を寄せてきた。


「ナマエっ、本当に、本当にエデンと!?」
「いや、ユナ? 私の一連の言葉聞こえていたかな? エデンとは付き合ってなんて――」
「どうして私に一言相談してくれなかったの!?」
「え、人の話を――」
「あぁっ、ナマエが、ナマエがまさかエデンにとられるなんてっ……!」
「あの、ユナさーん…?」


ユナはばっと背中を向けると、どこからか取り出したハンカチで目元を拭きだした。ナマエはもはやどうしていいのか分からず、ユナに伸ばそうとした手が宙で止まっている状態だ。
と、次はアルネが口を開いた。


「ちなみにエデンのいいところは?」
「いいとこ? …まぁ、一生懸命なところとか? 毎日頑張ってるみたいだし…」
「やんっ、妻は毎朝夫を支え見守ってるのね!!」
「……小町、…本当にどうしたの今日。」


ナマエは顔に手を当て、大きく息を吐く。


「大丈夫? ナマエちゃん。」
「アルネ…私の話、聞いてくれるかな?」
「うん…。」


アルネの純粋に心配してくれる目に、この子に真実を言うしかないとナマエは思い彼女を見つめる。


「私、誰とも付き合ってないわよ?」
「でも、あの人を全く寄せ付けないエデンが、朝の修行を一緒にして、朝食も一緒にして…。
ナマエちゃんだけだよ? あんなに彼と一緒に時間過ごしてるの。それに……、」
「それに……?」


アルネはちらりとナマエを一瞥すると、静かに口を開いた。




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