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Origin.


 黒い世界の中で


「さぁ、聖衣を纏え。」
「……。」
「…どうした、早く纏うといい。まさか、ただ世間話をするためにボクの前に現れたのではあるまい。」


ナマエは挑発するような口調でそう言い放つ。だが、エデンは聖衣を纏うことはなかった。


「なぜ聖衣を纏わない。」
「僕は戦いにきたわけではない。」
「ならばなんだ? 話しでもしに来たか。ましてや、命乞いに来たわけではあるまい。」


ナマエの小宇宙が揺れる。
だがその荒ぶりにも芯があり、それをしっかりと保ち、怒りながらも冷静な彼女があった。


「……父上が、お前を所望している。」
「なに……?」


エデンの思わぬ発言にナマエの眉間に眉が寄った。


「何が目的かは分からん。だが、父上はお前を必要たる存在だとおっしゃっている。」
「ボクを、引き抜きにでも来たのか。」
「父上が望むのならば、それを捧げるまでのこと。」
「…腐ったな、オリオン。」
「腐っているのは、今の世の中だ。」
「…義父さんたちの守ったこの世界を愚弄する気か、ふん。」


エデンの周囲に炎の玉が現れる。音も立てず、ただ眉を寄せるエデン。


「マルスがボクを望んでも、ボクはマルスを望まない。マルスの創造する世界も、何もかもだ。」
「お前が望もうとも、望まぬとも、僕には関係ない。」
「あぁそうだ。関係ない。…ボクが今、オリオン――君を殺そうとしても、だ。」


エデンの周囲の炎の玉は青色へと変色する。


「……残念だよ、オリオン。君は強い。強いのに、その力を真の正義のもとで振るえないなんてね。」
「真の正義など、どこにもありはしない。ましてやこの世界になんか。」
「あるんだよ…君が見えていないだけさ、盲目の可哀想な王子様。
さぁ、もうお喋りはこの辺にしておこうじゃないか。そろそろ光牙たちも目を覚ましてしまうからね。」


ナマエを纏う雰囲気が変わった。エデンもそれをすぐさま察知し、その身を聖衣に覆わせる。
ナマエもまた、新たな姿となった鳳凰の聖衣を纏った。


「お前が大人しく従わないと言うならば、僕は無理やりにでも父上にお前を捧げる。」
「あぁ、そうするといい。ボクも無理やりにでもマルスを阻止してやる。」
「……。」
「……。」


ナマエは手を前にだし、強く拳を握った。
その瞬間、エデンを取り巻く炎が大きく燃え上がる。


「さぁ、ボクに見せてくれよ。君の戦いを、信念を……オリオン、勝負だ。」



End.
アトガキ



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