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Origin.


 甘い蜜に誘われて


「まったく、君はいつになっても可愛いな。」
「そんなこと…、」
「いや、可愛いよ。んー……君からはいつになく、甘い香りがする……。」
「え?……っ〜〜!!」


びくっとナマエの身が跳ね、ぷるぷると震えているのが分かる。
アイオロスはまたしてもくすりと笑えば彼女の肩に顎を優しく乗せる。
そしてその小さな耳に唇を寄せた。


「さしずめ私は、その香りに誘われた虫というところかな?
そして君の甘い蜜を求め……それを吸う。」
「っぁ!?」


白い首筋に映える赤い痕。


「……ろ、す……、」
「本当にナマエは可愛いなぁ……。」
「ロス、ロス、」
「ん? なんだい?」


ナマエが突然アイオロスの腕の中で微かに身動きをとり、脱しようとし出した。


「……放してください。」
「…敬語直したらね。」
「っ、放して〜〜!!」
「ふふ、ほんとうに可愛い…。」


ナマエは抜け出せないと分かってはいるものの、脱しようする動きを止めることはなかった。
アイオロスはそんなナマエにどこか切なそうに微笑む。


「そんなに私の腕の中が嫌かい?」
「ちがっ、そういうわけじゃありませんけど!」
「敬語。」
「…そういうわけじゃないけど、…その。」
「ん?」


ナマエは脱する動きは止めたものの、落ち着きなくもじもじとし出した。
ころころ変わる彼女の言動にアイオロスは愛しさをまたしても感じる。


「…だって、……。」
「だって?」
「恥ずかしいじゃないのぉ!!」
「…はは、やっぱり可愛いなぁ〜。」
「あう…。」


アイオロスはぎゅっとナマエを抱きしめる。
この香り、この心地がたまらない。


「ナマエ、ナマエ、好きだよ…愛してる。」
「っ……うー…ロスの馬鹿……。」
「はは。」


ナマエは顔を俯ける。俯けながらも、その表情はどこか幸せに満ち溢れていた。
アイオロスもまた、そんな彼女の様子に笑みをこぼす。


「さ、もう一眠りしようか。」
「え?」
「今日は私は休みだ。…一日中、君といたい。」
「ロス……。でも私、いろいろしなきゃいけないことが……。」
「それは全部明日だ。」
「でも…。」
「今は、君といたい。それだけじゃ、ダメかい?」


アイオロスはナマエの唇に指を当て、微笑む。
ナマエはたまらずに、こくりと小さく頷いた。


「さ、行こう。」



End.
アトガキ



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