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Origin.


 あなたの背中に愛を


「さて、私ももうひと頑張りしますか。」
「えぇ、頑張ってちょうだい。」
「あぁそうだナマエ。」
「? なに?」


ムウは一度ソファから立ち上がり、また自室に戻ろうとするその足を止め、振り返った。ナマエは小首をかしげてムウを見つめた。


「今夜、修復が終わるまで待っていてくれますか?」
「え? ……えぇ、それは構わないんだけど……どうかしたの?」
「貴女を夜空の散歩道へとお誘いしたいのです。」
「…夜空の散歩道? …何? その名前…。」


ナマエは苦笑し、肩をすくめた。


「けど、嬉しいわ。素敵じゃない。」
「貴女ならそう言ってくれると思いましたよ。でしたら、早めに仕上げてきますね。」
「えぇ、待ってるわ。」
「それでは。」
「あ、ムウ!」
「はい?」


今度はナマエがムウを引き留める。ムウも何かと首を傾げた。
ナマエは小さく笑みを零すと立ち上がり、ムウの首に腕を回した。
突然のことにムウは小さく目を丸める。


「…どうか、しましたか?」
「……貴方が頑張れるようにおまじない。」
「っ!?」


ナマエはムウに触れるだけのキスをし、くるりと踵を返した。


「……まったく…。」


ムウは優しげな瞳で彼女を見つめれば、息を吐いた。だがそれは決して悪いものではない。


「行ってきますね、ナマエ。」


ムウは彼女の背中を愛おしそうな目で見つめ、自室へとまた籠った。
扉が閉まる音を聞いたナマエはゆっくり振り返り、閉じられた扉を見つめた。


「頑張って、ムウ…。」


ナマエは目を細め、微笑んだ。



End.
アトガキ



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