頂き・捧げもの | ナノ
骨の髄まで
「なんだ、スコーピオン。
聖衣にヤキモチか？」
「は？え？
俺、口に出してた？」
「ああ。
ならばそう言えば良いものを。」
ナマエが聖衣から離れて俺に近付く。
先程のように俺に馬乗りになってクスリと笑う。
視線が絡むと顔に熱が集まるのがわかった。
ナマエの指が俺の身体をなぞる。
指の感触がくすぐったい。
頬から首、鎖骨をなぞって胸に至る。
「いい？
ここが大胸筋。
あばらの上が外腹斜筋。」
「んっ、くすぐったい。」
「この前鋸筋の間が白線。」
いつの間にかシャツを捲り上げ直にナマエの指が滑る。
ゆっくりくすぐるように筋肉の筋をなぞってゆく。
なんかこの状態ヤバくないか？
「おヘソの周りが腹直筋。
腰の上が腸骨稜。
それから…」
「ちょ、それ以上下はマズイって！」
「……そうか？
スコーピオンは注文が多いな。
じゃあもうちょっと上を。」
白線と言った鳩尾辺りにキスを落とす。
チュッと軽いリップ音に一瞬思考が回らなくなる。
な、何してんだ？！
「ストっ、ストップ！」
「今度は何だ？
――ああ、胸鎖乳突筋から僧帽筋が強張っているな。
肩凝りか？
緊張しているのか？」
「そりゃ緊張もするだろう！
降りてくれ！」
「えー…
そんな事より揉んでやろう。
多少は楽になるだろう。」
「そんな事ではないっ。
頼むからどいてくれ！」
本当、理性の限界に陥る前に！
頼む！
「君はいつもそうだなスコーピオン。
あれはダメ、これもダメ。
その理由を述べたまえ。」
「そ、それは……
じゃあナマエが俺だけ名前で呼ばないのも理由があるのか？」
「あるさ。」
不機嫌なのを隠しもせず馬乗りのまま俺の胸に手をつく。
肩から髪が零れる。
ナマエの顔が近付く。
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