廻りし螺旋に我は在り | ナノ

Origin.


05


「……最悪。」


頭を抱えながら担当教員の部屋を後にする。
「マントが任務で使い物にならなくなったから欲しい。」と告げれば「今ちょうどない。」と言われた。
どういうことだ。普通在庫はもっとあるはずだ。
どうしようもなく苛立ちを覚え、レオナはつい舌打ちをした。


「ちっ、ふざけんなよ。」
「なんだ〜? レオナちゃんはずいぶんと苛立ってるご様子で。」
「殺すぞ。」
「だから怖いって!」


からかってきた相手を睨みつければ、両手を挙げてナギは苦笑を浮かべた。
どうしたんだ? と聞かれたため先の件をレオナは伝えた。
すると、ナギは怪訝そうな表情を浮かべる。


「なぁレオナ。」
「ん?」
「お前、昨日まで着けていただろ。つか、昨日任務なかったし。」
「そこは嘘で補ったに決まっているだろ。」
「……うわー。」
「なんだよ。」
「いやー、別に。で? 本当はどうしたわけ?」
「……ちょっと、な。」


言葉を濁せば、ナギは食いついてきた。
面倒だな、と思いながらしっし、と手を動かせば魔法陣が光る。


「お、これはこれは0組のお2方じゃないの!」
「あ、いつかの自称痛い人だ〜。」
「ちょ、それは酷いって!」
「確か、……ナギさんと仰いましたか?」
「そんな感じだったね〜。」
「そんな感じ、じゃなくてそうなの!」


どうやらナギは0組とそれなりに距離を詰めたようだ。
ナギは本当に9組に向いているな、と感心していると少女が「あ〜!」とナギを指差した。


「そのマント、今朝見たな〜?」
「あぁ、そういえばエースが持っていましたね。
いつになく穏やかな表情を浮かべていましたので、よく覚えています。」
「(うっわ、最悪。)」


レオナが肩を落とすと同時に、ナギの視線を強く感じた。
別に少年の名前を知っていたわけではない。
だが自分の組のマントを持つ0組といえば、もう彼しかいないのであろう。


「あんれ、レオナお前もしかして……。」
「ああ、もしかして貴女のでしたか?」
「えええ〜なんでエースがこの子の持ってるの〜?」
「さぁ、それは本人に聞いていただきたいですね。」
「お前のなのか。」
「さぁ、知らないね。それじゃ、私は先に失礼するよ。」
「あ、おい逃げるなよ!」


これ以上はダメだ。レオナはそう認識してすぐさまその場を去った。
かなり背中に痛い視線が突き刺さっている。一番はナギであろうが、他2名の視線も十分に痛い。


「……ほんと最悪。」



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