「エアリス、ここの手入れ終わったら少し休憩しようか」

「うん、いいよ。じゃああと少し頑張ろう」

「がんばろー!」



そう言って二人で気合を入れると、お互いに少しだけ笑って作業へと取り掛かる。

お昼がちょっと過ぎたスラムの教会。空から降り注ぐ太陽の光はほんの少しだけど、その少しの光を全身に浴びて育つお花たち。花ワゴンで売ることのできるお花を選んで小さなカップへと移す。

ほら、茎から切ったら少し可哀想でしょ?



「エアリスー」

「うん?」

「土掘り返しすぎちゃったー!」

「もう、ナマエは!」



顔に少し泥を付けたナマエに笑みを浮かべると、ナマエも眉を下げて「ごめん」と苦笑いを浮かべた。

土はたくさんあるから構わないし、ナマエの手の中にあるお花は無傷。黒の小さなカップをナマエに渡してお花を移す。



「今日はこれぐらいでいいかな」

「全部掘り返しちゃったら無くなっちゃうもんね」

「うん。ナマエあっちで休憩しよう?」

「はーい!」



そう言ってお花の入った黒いカップをワゴンの中に入れると、バスケットを持って二人で教会の椅子へと腰掛ける。木製の椅子がギシリ、と軋む音。この教会の椅子はどれもちょっと壊れかけてるけど私達二人なら問題は無い。



「はい、ナマエ」

「うわー、ありがとう。お腹すいてたんだよね」



笑って、私があげたサンドイッチにかぶりつくナマエを見てから私も同じようにサンドイッチに口を付ける。



「美味しいー!」

「本当?嬉しいな」

「何個でも食べれそう」

「太っちゃうよ?」

「・・そ、そういうこと言わないでよー」

「あはは、ごめん。ところでナマエ、今日はお仕事大丈夫なの?」

「え?うん、昨日ほとんど終わらせたから大丈夫!」



そう言って笑うナマエ。ナマエはこうやって暇さえあればスラムに来てくれるけど、本当は神羅で働いてる人。私のことを監察している人達がたくさんいる会社だけど、ナマエはそれを目的で私に近付いたんじゃない。

私がお花を売ってるときに「綺麗だね」って笑って声をかけてくれたのが最初。

段々と仲良くなって、今ではこうやってナマエが休日の日には一緒に過ごすぐらい仲良くなった。



「でも、本当にいいの?」

「なにが?」

「私と一緒にいても・・」

「え?」



顔にまだ少し泥の付いたナマエは不思議そうに私を見る。

一緒にお花のお世話ができるのは嬉しいし、ちょっとしたことで楽しそうに笑うナマエと一緒にいるのは私も楽しい。

でもナマエには私と休日を過ごすことより、優先しなきゃいけない人がいる。



「あ!ナマエ!」

「え・・?」

「‥‥やっぱり」

「ここにいたのかよー!探したんだぞ!」



そう言って教会に入ってきたのは神羅のソルジャー、ザックス。ここまで走ってきたのか少し息切れをしている彼を、ナマエは首を傾げて見つめている。



「え、ザックス・・どうして?」

「どうして?じゃねぇよ!俺も今日休みだって昨日言ったじゃねぇかー!」

「あれ?そうだっけ?」

「お前なあー・・」



がっくり、とうな垂れるザックスを慌てて「ご、ごめん!」と宥めるナマエ。私はそんな二人を横で何も言わずじっと眺めているだけ。



「まあいいけどさ。・・ほら、泥付いてる」

「あ・・ありがとう」



顔に付いていた泥を指で拭ってあげるザックスに照れたように頬を染めるナマエ。そんな二人を見て、むー、という感情が胸に込み上げてくる。



「ナマエは忘れちゃってたんだから仕方ないよねー?」

「え?」

「別に悪いことしてた訳じゃないのに」



私と一緒にお花のお世話してたのに。そうやって邪魔しに来て。ふん。

と、気持ちを込めてザックスを軽く睨むと少しだけ彼が怯んだのが分かった。邪魔しに来たザックスが悪いんだもの。私は悪くないもん。

いつもザックスはナマエと一緒にいる。会社でも昼食とか一緒に食べてるってナマエから聞いてるんだからね!



「私はナマエと少ししかいられないのに・・」

「え、エアリス・・!」

「いや、俺そんなつもりは・・!」



私の反応に慌てるナマエとザックス。

ザックスはとりあえず、ナマエまで少し困ってしまったのが分かる。・・なんだかナマエが可哀想になってきちゃった。



「冗談」

「え?」

「冗談だよ。ナマエ、ザックスと出かけてきなよ」

「で、でも・・!」

「私なら平気。今日は朝から作業してたから、やることもないし」



そう言って笑うと、ナマエは戸惑ったように視線を彷徨わせ、すがるようにザックスを見上げた。ザックスもどこか困ったようにナマエを見つめ返す。

もう、仕方ないな。・・まあ私のせいなんだけど。



「ザックスはお休みの日とか少ないし、せっかく二人とも休みなんだから」

「でも、」

「そうだ!ナマエ!」

「え?」

「次の休日は一緒にすごそう?先に約束すれば問題ないよね!」



そう言ってザックスを見ると「まあ・・」と曖昧に頷く彼。せっかく私が今日を譲ってあげるんだから、素直に納得しなさい。



「じゃあ、約束ね?」

「う、うん!約束!」



小指を絡めて笑いあうと、私はナマエを促すように立ち上がり教会の入り口まで見送る。



「悪いな、エアリス・・」

「別にザックスのためじゃないもーん」



ナマエが困っていたから今日は諦めただけ。間違ってもザックスのためじゃないんだから。そんな私を見てザックスが苦笑いを浮かべてるけど、知らないふり。



「エアリス、次の休みの日私から連絡するねー!」

「うん、待ってるー!」



大きく返事をして手を振るとナマエも笑顔で私に手を振ってザックスと一緒に歩いていく。



「ナマエ、どこいく?」

「えっと、ザックスがこの前行きたいって言ってたお店でいいよ?」



二人の笑いあう声を背に、私はお花たちの下へと戻った。










(ナマエが、じゃなくて)
(ザックスが)





頬染めて笑ったり

照れ隠しの仕草とか

そんなナマエは

女の子同士だと見れないんだもの








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私はCCのエアリスより無印のエアリスが好きです^^

20100205