吸い込まれそうなほど深い濃紺と、その中で輝く星。
コスモキャニオンで見上げた夜空は星がきらきらと輝いてて、ミッドガルで見るよりも何倍も綺麗に見えた。
「ナマエ、何をしてるんだ？」
「クラウド･･」
コスモキャニオンの中心にある、石でできた台座のような場所。夜空から視線をずらして声のほうへと目を向けると、私を見下ろすように立ってるクラウドの姿。
「星をね見てたんだ」
「星？」
「うん、綺麗だよ。ほらクラウドも立ってるより座ったほうが見やすいよ」
ぽんぽん、と自分の横を叩いて見せるとクラウドは少しだけ笑みを浮かべて私の隣へと腰を下ろした。
パチパチ、と燃え上がる焚き火の火の粉と夜空。谷の中にいるのにキャンプファイヤーをしてるような気持ちになってしまう。
「みんなは？」
「もう寝た･･そっちは？」
「うん、エアリスもティファも寝ちゃった」
今日もたくさん歩いたから二人はきっと疲れてたんだろう。明日もたくさん歩くんだから私も早く寝なきゃもたないんだけど･･。
「ナマエは？」
「うん？」
「寝なくていいのか？」
「寝ようかな、と思ったんだけど･･星が綺麗だったから」
ミッドガルにずっといたせいだろうか。ミッドガルではいくら空を見上げてもそこには黒く淀んだ空しかなかったから、空を見上げることをいつの間にかやめてしまっていた。
「久しぶりに見上げたらすごく綺麗で･･寝るのがもったいなくてね」
「･･そういえば俺も、こうやって空を見上げるのは久しぶりな気がする」
「クラウドも？」
「ああ」
「じゃあ一緒だね、私たち」
そう言ってクスと笑って見せると、クラウドは同じように少しだけ笑みを浮かべた。
最近よく思う。こうやって一緒に旅をしてきたからかもしれないけど、クラウドの表情が豊かになったな、って。今みたいに少しでもクラウドが笑ってくれると私も嬉しい。
「ふふっ」
「どうした？」
「ううん、なんでもない。それよりクラウドは寝なくて平気？」
「いや、俺は･･寝れないんだ」
「え？どうして？」
「･･バレットのいびきが、うるさくて」
眉間にしわをよせて言うクラウドに私は少しだけ笑ってしまった。
バレットのいびきに寝れなかったクラウドを想像すると、なんだか面白い。きっと眉間に皺を寄せて色々試したんだろうな。それでも寝れなかったから起きてきたんだろうな。
「しょうがないよ、バレットも歳だし･･ふふっ」
「次からは部屋を別にするか俺が先に寝る」
「そうだね、そうしたほうがいいね･･あ、じゃあクラウドまだここにいる？」
「ああ、ここにいるし･･部屋よりこっちのほうがいい」
「バレットがいるもんねー」
「いや、そうじゃなくて･･」
「うん？」
「っ･･な、なんでもない、やっぱり戻る」
「え？」
いきなり立ち上がるクラウド。部屋よりここがいい、って言ってくれたのにどうして？と聞く前に私の手が動いた。
気付くと、去ろうとするクラウドのズボンの裾を、ギュウと掴んでいた。
「･･ナマエ？」
「えっと･･も、もう少し話そうよ･･私クラウドと話したいな、って思って･･」
「！･･べ、別に」
「え？」
「･･そう言うなら、ここにいる」
そう言って私の隣に再び座るクラウドになぜだか安心する。
もう少し話せることが嬉しいのかなんなのか分からないけど、とりあえずクラウドがいてくれることが嬉しいと思った。
「徹夜、しちゃおっか？」
「･･え？」
「うん！私もまだ寝たくないし、二人で徹夜しない？」
「･･」
私の突然の提案に驚いたのか、私を見たまま少しだけ目を見開いて固まってしまったクラウドに、はっ、と我に返り慌てた。
「あ、でもクラウドが眠たいなら別だよ！？･･ほら、明日もたくさん歩くし、えっと眠たいなら寝たほうが、その、お肌にもいいし！」
「･･いや」
お肌とか私は男の人になに言ってるんだろう、と自分の言葉に後悔しているとクラウドは少し笑ってゆっくりと口を開いた。
「･･しよう」
「え？」
「徹夜、二人で」
「･･う、うん！」
明日の心配とか色々あるけど、綺麗な夜空の下クラウドと一晩中話せるなら別にいいかな、と思った。
心配ごとは
夜空に溶かして
（夜空が綺麗な日くらい）
（徹夜したっていいよね？）
あ、そうだ！
どうした？
もし今度バレットのいびきで眠れなかったら私の部屋に来て良いよ？
！？な、ば･･っ！
あはは、冗談ですー
･･････。
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たぶん二人そろって寝ちゃうだろうな。
それでコスモキャニオンの人が毛布かけてあげるんだろうな。
『徹夜』が変換した時『鉄也』になった。誰だよ。
20100118
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