「ディーノってさ、基礎体温高いでしょ?」

「別に普通だと思うぜ?」



普通‥こんなに熱いのに普通なんだろうか?自分から抱きついておいて失礼かもしれないけど、彼の胸に頬をあてながら考える。密着したところからじんわりと侵食されるように移ってくる熱。

こうやって抱きつくのは大好きなんだけど、蒸すような不快な時期に彼のこの体温は少しばかりこたえる。ちょっと前まで涼しくて過ごしやすかったはずなんだけどな‥。



「‥あつい、かも」

「離れるか?」

「それはいや」

「なんだ、それ」



そう言って笑うディーノになんとなく悔しくなって、回した腕に少しだけ力を込めてみる。「ぐ、」と彼が息を詰めるような声を出し、ちょっとだけしてやったりな気持ちになった。



「まあ名前は俺にくっ付くの好きだもんな」

「冬は特に」

「湯たんぽか俺は」

「んー‥大きいカイロ」

「それ同じ意味だろ」

「迷惑だった?」

「ん?」

「こういうの、嫌だった?」

「そんなことねえよ」



「俺もどっちかと言うと好きなほうだし」と私の腰を引き寄せる彼。冬だったらいい感じの彼の体温に落ち着くところなんだけど、移る熱に少しだけ呻き声が出てしまう。



「あ、あつい‥」

「がまん」

「えー‥」

「離れる?」

「いや」

「だったらがまん」






(これが初夏なんて)
(ぜったい嘘だ)




あ、そうだ

なに?

クーラーつけるか?

‥この時期に?

名前ががまん出来るならいいけど

‥つける



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突然暑くなってきたな、と思い
まだ扇風機で平気ですけどね
20100620