(※ハロウィンログ)


私の大好きで大好きで、愛してやまないボンゴレのボスは優しい顔立ちのくせにものすごく意地悪です。

いや、もう意地悪なんて可愛い次元じゃないかもしれません。あれは鬼畜やサドを通り越して軽く魔王です。


だって普通、海外でのハロウィンって言ったら盛り上がるものじゃないですか?

たしかに日本はどちらかというとハロウィンに対してそこまで意欲的じゃなかった。だけど海外はみんなで仮装をして色んな家に行っては、トリックオアトリート!


ほら、思い浮かべただけで楽しそう!


それなのにうちのボスってば仕事仕事仕事・・。

そういう奴はあれですよ!ハロウィンの掟を守らない奴は悪戯されちゃえば良いんです!




「そう、例えば私とかに!」

「うるさい、死ね」

「・・」




わー。

この人女の子に死ねって言った。うるさいだけならまだしも。

女には優しいイタリアのマフィアが今私に死ねって言ったよ。しかも書類から目を離さずに。私を見ることすらせずに死ねとおっしゃいましたよ。




「まあ、めげませんけどね!」

「名前、本当にうるさい。ちょっと黙ってて」

「あ、はい」




ニッコリと少しも笑ってない目で微笑まれ、大人しくソファへと腰掛ける私。(・・くそぅ、弱いな私)


とりあえず食い入るようにボスを見つめる。

ボスは眉間に皺を寄せて書類を見てる。何か悩んでいるみたいだけど、ここで口を出したら怒られるからお口にチャック。

ちなみにこの前口を出した時、あやうく燃やされるところだった。(ボスはいつでも全力なんです)




「・・」




うーん、暇だな。でもボスを待ってたいな。さてどうしたものか。

ぐるぐるとしばらく考えていたらトントンと書類を整える音。顔を向ければそこには、ふうと一息つくボスの姿。




「終わりましたか!」

「あぁ」

「お疲れ様です!」

「今日は名前が珍しく静かだったから早めに終わったよ」

「そんな私のお陰だなんて照れます!」

「嫌味だってことに気付いて」




またまた照れちゃって!と言えばボスは呆れたように溜息をついた。




「で、お前のそのカッコはなに?」

「おぉ!よくぞ聞いてくれました!」




うふふふふふ。と笑えば若干引いたようなボスの顔。

そんなボスを気に留めずローブの裾を掴んで箒を構えた。




「可愛い魔女です!」

「可愛いかどうかは別として」

「・・」

「その服はどうしたの?」

「・・骸さんがくれました」




ボスの痛烈な言葉に胸を痛める。骸さんは可愛いって言ってくれたのにな。




「俺アイツが自分の守護者でいいのか分からない」

「変わってますけどいい人です」




そう、少し普通の人とは違うだけで、容姿だけ見れば紳士的で美形な人だ。




「って言うことで、ボスもハロウィンしましょ!」

「無理、断る、帰れ」

「・・まさかの三連打」

「大体、ハロウィンなんて参加してる奴うちにいないだろ」




ボスの言葉に一瞬キョトンと間抜け面をしてしまったが、私の顔はみるみるうちに笑顔になった。




「そんなことないですよ?むしろみんな意欲的に参加してくれてます!」

「嘘だ」

「嘘じゃないです!これが証拠です!」




ソファから立ち上がり骸さんが用意してくれたお菓子の籠をボスの仕事机の上に置く。




「これ皆さんから貰いました!」

「・・これ全部?」

「これが獄寺さんからのクッキーで、これが山本さんからのどら焼き」




日本のお菓子懐かしいですね!
いいから次。
はーい。




「これが笹川さんからのビタミンゼリーと、ランボくんからぶどうの飴玉の瓶詰め」

「・・」

「クロームちゃんからはケーキ。骸さんからは・・よいしょっ、ほら大量のお菓子」

「胸焼けしそうだ・・」

「はい、さすがに私もこれは食べきれないです」




ゆっくり食べることにします。と言いながらお菓子たちを籠の中へと戻す。

まあ出来れば私はボスとお菓子を食べたいけれど・・ちらりと視線を横にやれば山積みされた書類の数々。

今日は終わったって言ってたけど疲れてるんだろうなぁ。

疲れたときには甘いものが一番!・・だけどそれを言い出したら終わらないもんね、うん。




「仕方ないです、ボスは大変そうなので私は大人しく他の人に遊んでもらうことにします」

「・・あぁ、そうしてくれ」




私の遊びのせいで仕事が遅れるのはボスに申し訳ない。よいしょっと籠と箒を持ち直し部屋の出入り口へと向かう。




「あ、忘れてた!」

「・・ん?」

「見てくださいこれ!」




籠と箒を置き、ごそごそとローブを漁る。中に入れてたからすっかり忘れていた、と白い箱を取り出した。

箱の中から漂ってくる甘い匂いに顔が綻ぶ。




「これ、雲雀さんがくれたんです!」

「へー」

「高級な和菓子らしいんですよー!」

「・・ふーん」




この和菓子を食べるときは絶対に美味しいお茶で食べるんだ!と顔がニヤニヤする。

別に貧乏根性じゃないけど、こんなに高級なものがタダで食べられることなんて滅多にないからテンションが上がる。

別に貧乏根性じゃないけどね。大事なことなので二回言いました。




「まさか雲雀さんがくれるとは思ってなかったし、ハロウィンとか嫌いそうじゃないですか?雲雀さんって。なのにこんないいものくれるなんて!」

「・・」

「みんなもいい人ですけど、雲雀さんもいい人!もう雲雀さん大好き!」




もちろんボスのほうが好きだけど!・・とは心の中で呟いた。(だってまたうるさいって言われるし)




「それじゃ、暇になったら呼んでくださいね!私はボスのためならいつでも暇なので!」




では!と軽く敬礼のポーズをしながらドアノブに手をかけた。




「・・暇になった」

「は?」




今なんと?

後ろを振り返れば仕事机から立ち上がり、いそいそとコートを羽織るボスの姿。




「え、だってボス仕事は?」

「終わったって言っただろ」

「うそうそうそ!まだあんなに書類あるし、終わってたとしてても疲れてるんじゃないんですか!?」

「疲れてない」




えー絶対うそだ、と疑いの言葉をこぼせば、うるさいと一言。

なんだか腑に落ちないながらも、ちゃっちゃか出かける支度を済ませたボスの傍による。




「名前」

「はい?」

「あれ言え、あれ」

「あれ?」

「ハロウィンの決まり文句」



早く言え、と催促するボスの言葉の意味を汲み取った私。自然とニヤけるのは仕方ない。

心なしかボスも少しだけ笑っている気がする。


仕事で疲れてるなら休んでほしいと思ったけど・・やっぱり疲れたときには甘いものが一番ということで。






「トリックオアトリート、ボス!」

「そんな和菓子より高級なケーキを嫌と言うほど食わせてやる」







負けず嫌い嫉妬

(まったく、ボスも負けず嫌いだなー)
(は?)
(雲雀さんより高級なお菓子なんて)
(それは、)
(お菓子で張り合ってどうするんですか?あはは!)
(・・もうお前、死ね)
(また死ねって言ったー!)







あ、そうだ

なんですか?

それ着替えて来い

えー!せっかくのハロウィンなのに!!

着替えないと連れて行かないよ?

イエス、ボス!3分で着替えてきます!





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ツナをボスと呼ばせてみたかった!
ツナがツンデレてるかは分かりませんが^^←
『つんでれ』ハロウィンログ。
20091027