「・・はよ」
「あ、おはよう武」
眠い目を擦りながらリビングに入ると、そこにはピンクの可愛らしいエプロンを着て俺に笑顔を向ける名前の姿。
鼻を掠めたのはトーストとコーヒーの匂い。あぁ今日の朝はパンか、と考えながらキッチンへと足を運ぶ。
キッチンでは真剣な顔をしてフライパンに向かっている名前を見て何を作ってるのかな、と手元を覗き込んだ。
「ちょっと待っててね、いま凄くいい感じに出来てるのっ」
「ん、」
フライパンの中にはキレイな形のオムレツがある。ちょっと前まで苦手だったのに随分と上達したんだなー、なんて自分のことのように嬉しくなった。
「できたっ」
「おー」
「ねぇ、今日の上手くできてるよねっ?」
白い皿に形を崩すことなく乗せられたオムレツを俺に見せながら名前はまるで、褒めて!と言わんばかりの目を向ける。(うん、可愛い)
「上達したな」
「うん、頑張ったから」
よしよし、と頭を撫でてやれば目を細めて微笑む名前に俺まで頬が緩んでしまう。
「私は目玉焼きにしよっと」
「これ食べないのか?」
皿をテーブルの上に置いて再びキッチンへ戻ろうとする名前に声をかける。
「うん、それ上手に出来たから武に食べてほしいの」
なんて言いながら微笑む名前に、なんとも言えない感情が胸の中に広がって声が詰まってしまう。
胸がきゅ、ってした。きゅ、って。
名前といるとこんな感情がよく胸に広がる。切ないとはちょっと違って、嬉しいとも少し違う。暖かくて安心する感じ。あ、もちろん名前限定ってやつな!
「じゃあさ、名前」
「うん?」
「もう一回オムレツ作ろっか、今度は俺も一緒にな」
俺がそう言えば、キョトンとした顔がパッと明るくなって、うん!と力強く頷いてくれる名前。
冷蔵庫から材料を取り出すその表情がとても楽しげで。
そんな表情の名前を見て、さっきみたいな感情が俺の胸に広がった。
すごく愛しいです!
(二人で作ったオムレツは) (さっきのより上手くいった気がした)
憂ねぇハッピーバースデー! 私は憂ねぇが愛しいです!←
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