「あれ?名前ちゃん香水変えた?」
「あ、分かるー?」
さすが京子ちゃん!なんて言いながらニコニコと笑う名前に京子もつられるように笑みを浮かべた。
授業と授業の間の休憩。各自が自由に過ごす時間。珍しく花が別の友達と話しているため、今は名前と京子の二人きりだ。
「この前はもっと甘い香りだったよね?」
「うん、バニラみたいなやつ」
「あれも良かったけど、新しいのも良いね」
「ホント?ありがとー」
えへへ、と嬉しそうに笑う名前の首筋や手首からは、バニラみたいな甘い香りとは反対の、花のような爽やかな香りがする。
「あれ?でも‥」
「ん?」
「名前ちゃん、前の香水買ったのって最近だったよね?」
はて?と首を傾げながら記憶を辿れば、確かに名前が新しい香水を買うのにはまだ早すぎる。
「もう使い切っちゃったの?」
「ううん、まだあるよ?」
「え?」
まだあるのに新しいのを?という疑問の視線を京子が向けると、そうなんだよーと呟きながら名前は小さく溜息を吐いた。
「なんかね、たけしがこっちの方が合うって」
「山本くん?」
京子が視線をわずかにずらせば、ツナや獄寺と談笑している名前の幼なじみの姿が見えた。
「買ってやるから一緒に行こう!って」
「っていうことは山本くんが選んでくれたの?」
「一応断ったんだけど、なんか珍しく頑固で・・」
たけし甘い匂いが嫌いなんだって、と呟く名前に京子はふふっと小さく笑みをこぼした。
「山本くんって意外と」
「ん?」
香るのは独占欲
(意外と独占欲強いんだね) (京子ちゃん?) (ううん、なんでもないよ)
好きな人には自分の好きな香りを付けてほしい
花の香りの中に紛れた独占欲
(名前には甘いのよりこっちの方がいいって!) (そうかなー?) (俺はこっちの方が好きだぜ) (んー・・じゃあこれにする)
−−−−−−−−−−−− 山本はきっと独占欲強い!という妄想←
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